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レポート◎コロナ対応の死角を追う
一人暮らしの認知症の人がコロナに、誰が診る?

写真1 長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長の長尾和弘氏

 日本は独居の認知症の人が新型コロナに感染した場合を想定していない。コロナ対策に「認知症」という視点がスッポリ欠落している──。こう訴えるのは、「尼崎の町医者」を自認する長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長の長尾和弘氏。つい最近、自院に不定期に外来通院していた一人暮らしの認知症の人がコロナ陽性となったという。長尾氏は「僕たちが最後の砦」と覚悟し、関係者の協力のもと、スタッフを総動員して対応に奔走する。以下に、その奮闘ぶりの一部を再現していただいた。

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 うちに不定期に外来通院中だった一人暮らしの認知症のAさんがコロナ陽性の孫の濃厚接触者だと保健所から連絡あった。少し離れて暮らす孫はコロナに感染し自宅療養中とのこと。数日前に、孫が食事を作りにAさん宅を訪れた際に濃厚接触したそうだ。

 早速、Aさんに電話してみた。しかし、出ない(難聴なのか不在かは不明)。買い物に出かけているのか、銭湯に行っているのか……。

 うちの職員がAさんの帰宅を確認し訪問。家の中はかなりのモノに溢れていて、本人の様子はしんどそうだったという。

 個人防護具(PPE)を身に着けた看護師がAさんの軒先(屋外)で、舐めるタイプの唾液PCR検査を行う。

 翌朝、はたせるかな「陽性」との結果が届く。直ちに、孫に連絡した。

著者プロフィール

三和護(日経メディカル編集委員)●みわ まもる。1984年筑波大学大学院医科学修士課程修了。同年日経BP入社。感染症や循環器領域をはじめ、診断エラー学、医師患者関係、心不全緩和ケアなど幅広いテーマに取り組む。共著に『期待されるシルバービジネス』(ダイヤ財団新書)『バイオバンクの展開』(上智大学出版)。

連載の紹介

三和護が迫る「COVID-19の核心」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全体像を俯瞰。COVID-19対応の問題点に迫り、その解決のために今、何をすべきなのかを考えます。

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