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米国はマスクなし解禁、日本は緊急事態宣言延長の差に思う

 緊急事態宣言が延期された。新たに緊急事態宣言が下される都道府県も増えている。一方、米国では、ワクチン接種で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が減り、ワクチンの効果が明らかということで、ワクチン接種者は屋内でもマスクなしでOKになっている( CDCの関連サイト)。

 我々もそんな世界を夢見て、医療者や高齢者へのワクチン接種を粛々と進めている。接種を開始して、ちょうど1カ月程度経過したところだ。ただ、いまだに先入観からか患者さんたちには「副反応が怖いから打ちたくないんだけど……」「下手すると死んじゃうんだろう?」と相談を受ける。

 ワクチン接種は、体内に異物を入れ、感染症に対する免疫を付与することを目的する。だから、効果とともに副反応が生じてしまう。また、ワクチン接種後には、接種と因果関係のない偶発的な事象も生じ得る。国は安全性評価のため、因果関係が不明な場合も含めて、副反応を疑う事例として広く収集し評価の対象としている。

 一般の人には、この「因果関係が不明」というのが理解にしにくいのだろうか。また、一般紙の記者も、「因果関係が不明」という評価を、限りなく“クロ”と受け止めて報道しているような気がしてならない。

 例えば、死亡例について。

 日刊ゲンダイは、「しかし、要注意なのは、やはり副反応はゼロではないことだ。最悪、死にいたる。4月30日に厚労省が公表した報告書によると、ワクチン接種後の死亡例は、この2カ月半で19件に上っているという。そのうち11例は、接種後3日以内に亡くなっている」と報道している。

 これだけ読めば、私だって副反応として19人が死亡したのかと思ってしまう。この記事の情報源の一つと考えられる厚生労働省の「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」を見ると、死亡例として報告された事例に対する専門家による評価は、28件中28件いずれも「ワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」とされている。

 因果関係は「評価できない」とはあるが、概要を読むと、限りなく“シロ”に近いように感じるのは、医療者だけなのだろうか。いずれの事例でも何らかの基礎疾患を有していたり、基礎疾患がなくても、画像検査から何らかの原因疾患が疑われている。

 そのため、専門家は「現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められなかった」と結論付けているのだろう。また、既に国民の過半数が接種を終了している欧米諸国と比較しても、新型コロナワクチンの接種後死亡報告頻度は高くない。

著者プロフィール

三浦和裕(三浦医院院長)◎みうら かずひろ氏。2004年帝京大卒。東京警察病院、聖マリアンナ医科大などを経て、2012年より現職。2017年より品川区医師会理事。日本プライマリ・ケア連合学会認定医、日本外科学会認定登録医、がん治療認定医。

連載の紹介

三浦和裕の「地区医師会感染症担当理事のホンネ(折々グチ)」
品川区医師会理事で、感染症も担当する三浦氏。普段、医師会では感染症関連の仕事は皆無だったのが、新型コロナの流行により、区内のPCRセンターの立ち上げなどに奔走し、いつの間にか、日々更新される新たな通知などを熟読し、医師会員向けに整理し直して発信する立場に。そんな三浦氏が、行政やら日本医師会、東京都医師会、学会からの膨大な情報を通読し、自身も発熱患者の診療の最前線に立つ中で感じたこと、疑問に思うこと(時々は愚痴も)を発信します。

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