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救急車の適正使用、まずは医療者から!?

 週末、うちの子どもが吐いた。その2カ月ほど前に頭を打っていたこともあり、病院の救急外来へ電話し、受診できることを確認した上で、私ひとり、ぐったりする子どもを連れて病院に向かった。

 荷物を持って子どもを救急外来に連れて行くのは大の大人で、ラガーマンでもある私でもたいへんだった。母親ひとりで連れていくのはもっとたいへんだろう。しかも、小さな子どもがぐったりしているので、救急車を呼びたい気持ちにすらなってしまった。

 しかし、救急車はタクシーではない。休日に救急車を要請して救急外来を受診すれば、加算が付いて受診料も検査料も高くなる。医療費増大に加担するようで、とてもできない。と考え、救急車は呼ばず、救急外来をウオークインで受診した。

 救急車というと、医師の多くはタクシー代わりの不適切使用を減らすために有料化することに賛成だろう(関連記事:8割以上の医師は「救急車は有料化すべき」)。しかし、医療機関からの転院時に救急車を使用することだって再考すべきではないだろうか。

 厚生労働省は転院搬送における救急車の適正利用を推進する目的で2016年3月に「転院搬送における救急車の適正利用の推進について」を全都道府県に通知した。これは、緊急性の低い転院搬送に救急車を利用しないように求めるものだ(関連記事:転院搬送の適正化に病院救急車の活用を)。この通知を受ける形で、各自治体は転院搬送を適正化するためのガイドラインを作成しているが、転院搬送における救急車の使用は減るどころか増加を続けている。総務省による「令和2年版 救急・救助の現況」によると、2019年は55万2175件と、全体の8.3%を占めていた(図1)。

図1 事故種別の救急出動件数と5年ごとの構成比の推移(出典: 「令和2年版救急・救助の現況」)

著者プロフィール

三浦和裕(三浦医院院長)◎みうら かずひろ氏。2004年帝京大卒。東京警察病院、聖マリアンナ医科大などを経て、2012年より現職。2017年より品川区医師会理事。日本プライマリ・ケア連合学会認定医、日本外科学会認定登録医、がん治療認定医。

連載の紹介

三浦和裕の「地区医師会感染症担当理事のホンネ(折々グチ)」
品川区医師会理事で、感染症も担当する三浦氏。普段、医師会では感染症関連の仕事は皆無だったのが、新型コロナの流行により、区内のPCRセンターの立ち上げなどに奔走し、いつの間にか、日々更新される新たな通知などを熟読し、医師会員向けに整理し直して発信する立場に。そんな三浦氏が、行政やら日本医師会、東京都医師会、学会からの膨大な情報を通読し、自身も発熱患者の診療の最前線に立つ中で感じたこと、疑問に思うこと(時々は愚痴も)を発信します。

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