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COCOAって昔話なの?

 最近のガイドラインの改定を受けて、当医師会の「職員感冒症状出現時フローチャート」を変更していたときに気が付いた。「あれ?最近、COCOAの通知が来たって患者さんいなくない?」。事務員に聞くと「COCOAって懐かし~~」と、既に昔話になっていた。

 COCOAは2020年6月より稼働している、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の陽性者と接触した可能性について、スマホで通知を受けることができるアプリだ。ちなみにCOCOAとは、Contact-Confirming Applicationの略称。アプリをインストールし必要事項を入力して利用を開始する。

 SARS-CoV-2陽性として発生届が提出されると、陽性登録および他の利用者への通知についての同意が求められる。同意すると処理番号が新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムから、本人が同システムに登録した携帯電話のSMSまたはメールアドレスに送付される。これは陽性じゃない方が登録しないようにするためだ。処理番号、陽性情報の登録(発熱等の症状や基礎疾患があるかどうか、新型コロナウイルス感染症の陽性者と接触した心当たりがあるかなど)を行う。すると、この陽性者と過去14日間に1m以内で15分以上の接触があった方に対して通知が届く。アプリの案内に従っていくと検査が必要か否かなどの情報も出てくる。

 ところが、このアプリ、Android版で不具合が生じており、9月末から2月頭まで、陽性者と接触してもユーザーに通知が送られていなかったという。厚生労働省は、この不具合に関して調査を行うためのチームを結成したとのこと(厚労省の関連サイト)。なんと大変だ。

 そっか、問い合わせが来ないのは、アプリの故障が原因だったのね。でも、iPhoneユーザーでも、通知が来たっていう人、最近来ないよ??

 調べてみると、iOS13.5搭載末端では通知が出ないケースがあるらしい。厚労省によると「iOS14シリーズでは通知を受け取ることができることが確認できていますのでOSを最新版にアップデートした上で本アプリをご利用いただくようお願いします」とのこと(厚労省の関連サイト)。

 トトホホ感満載である。

 アプリそのもののトホホ話もあった。接触日より14日たったのに、通知が消えないとか、接触13日目に通知が来たとか。家に引きこもって人に会ってないのに通知が来たとか(これはアパートの隣人が感染者だったようだ)。

 政府は2月4日現在、ダウンロード数は約2500万件、陽性登録数は約1万件と発表している。本邦は人口1億2500万人、陽性者数は累計で約40万人だ。現在、人口の5分の1が登録していることになるが、政府はさらなる登録を呼びかけている。

 でもさあ、以前のコラム(「濃厚接触者か否かは医師が決める」の方針転換に思うこと)で紹介したが、東京都は濃厚接触者の追跡では高リスク群を優先することにしているじゃん。

 アプリをダウンロードしているのって、ほとんど低リスク群なんじゃあないかしら?

 少なくとも都内に関しては、低リスク群にCOCOAから通知が行っても、今は疫学調査の優先順位が低いわけで、保健所はもちろん対応してくれない。それなのにアプリに登録しようって、意味あるのかなぁ?とか思ってしまう。政府の官僚たちも頑張っているのは分かるけど、税金がどこかに流れていくようで、なんだか涙も流したくなる。

  Ah どれだけ 涙流しても
  傷ついた心 いやせやしないよ

著者プロフィール

三浦和裕(三浦医院院長)◎みうら かずひろ氏。2004年帝京大卒。東京警察病院、聖マリアンナ医科大などを経て、2012年より現職。2017年より品川区医師会理事。日本プライマリ・ケア連合学会認定医、日本外科学会認定登録医、がん治療認定医。

連載の紹介

三浦和裕の「地区医師会感染症担当理事のホンネ(折々グチ)」
品川区医師会理事で、感染症も担当する三浦氏。普段、医師会では感染症関連の仕事は皆無だったのが、新型コロナの流行により、区内のPCRセンターの立ち上げなどに奔走し、いつの間にか、日々更新される新たな通知などを熟読し、医師会員向けに整理し直して発信する立場に。そんな三浦氏が、行政やら日本医師会、東京都医師会、学会からの膨大な情報を通読し、自身も発熱患者の診療の最前線に立つ中で感じたこと、疑問に思うこと(時々は愚痴も)を発信します。

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