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医療制度改革のヒントを探る

第5回
さらなる財源確保の可能性

2010/05/25
ルードヴィヒ・カンツラ(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン)

 需要と支出の抑制とともに、財源不足の解消のもう一つの柱となるのは「さらなる財源の確保」である。前述のように、現在の財源を、これまでの延長線上の負担率の引き上げだけで拡大することには限界がある。さらなる財源確保が強く求められるが、その可能性はどこにあるのだろうか。

 ここで改めて日本のGDPに占める医療費の割合に着目したい。OECDの定める定義(連載第1回の図3参照)に従った場合、2005年時点で8%となり、他のOECD諸国に比べて低い水準にある。2035年時点でも16%程度と予想され、これは現在の米国と同程度である。では、対GDP比の医療費水準が日本よりも高い国々では、その資金をどう調達しているのであろうか。

 各国の状況を分析すると、日本は医療費の96%を「強制負担」(健康保険における自己負担分も強制負担に含めて考える)で賄っているのに対し、他の国々は強制負担と任意支払いの混合型となっている。強制負担すべき医療費とともに、任意での支払いも認め、追加的な医療保険の提供や追加的な治療に対する任意の自己負担を通じて、医療支出の幅に個人裁量を認める制度を導入しているのである。

著者プロフィール

ルードヴィヒ・カンツラ(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン)●オックスフォード大学にて経済学修士・博士号取得。1995年より日本在住。2001年マッキンゼー入社。アジア諸国(主に日本)でのヘルスケア分野を主に担当。

連載の紹介

医療制度改革のヒントを探る
マッキンゼーが、日本国内の医療制度について2008年末に独自にまとめたレポート「医療制度改革の視点」の内容を順次紹介していきます。ぜひ一緒に考えてみてください。本連載の意義と目的については、こちらをご覧ください。

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