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第8回 新型コロナウイルス感染症
ワクチン副反応・Long-COVIDへの漢方治療戦略

2021/11/29
松田 正(みさとファミリークリニック院長)

 新型コロナウイルスワクチンによる副反応は、他の一般的なワクチンと比べて格段に高い頻度で発生していると感じます。一部には、原因不明の体調不良がしばらく続くケースも散見しています。当院ではワクチン接種、発熱外来、そして後遺症外来も実施しています。

 私見ですが、ワクチン後副反応とLong-COVID(新型コロナウイルス感染症[COVID-19]の後遺症)の症状は、とてもよく似ていると感じています。このことから、これらの症状はウイルスそのものに由来するのではなく、免疫の過剰反応による可能性が大きいのではないかと推量しています。

 後述しますが、当院では接種後の副反応には、直ちに漢方薬治療を開始します。COVID-19患者に対しても、症状発現後に漢方薬治療を速やかに開始しています(関連記事:葛根湯医者になろう──かぜから新型コロナまで隠れた「スーパーヒーロー漢方薬」越婢加朮湯)。漢方薬(麻黄剤)によって過剰免疫応答が抑えられるためなのか、あるいは抗体カクテル療法のようにウイルスの細胞接着の抑制によるものか、詳しい機序は明らかではありませんが、今のところ当院のかかりつけ患者では、ワクチン接種後の長期にわたる副反応やCOVID-19感染後の後遺症の経験はありません。

 一方、他院においてワクチン接種を受け、解熱鎮痛薬のみを処方された患者さんの中には、一定の頻度で慢性的な症状(倦怠感、頭痛、身体の痛み、食欲不振、不眠など)が残存しているようです。困って当院を受診したという症例を何例も経験しています。COVID-19患者さんの場合も同様で、解熱鎮痛薬処方のみの場合、前記症状に加えて、味覚・嗅覚障害などの残存を認め、数週間、場合によっては1カ月以上経過してから当院を受診する患者さんもいます。慢性的に持続するワクチン接種後副反応とLong-COVIDについては、漢方治療としてはほぼ同じ治療となるため、本稿の最後にご紹介します。

 まずはワクチン接種に際して、当院で注意していること、漢方薬を用いた対処法をご披露しようと思います。ただし、あくまで当院での使用経験をベースにした私見ですので、この記事を契機に読者の先生方にも漢方薬を試してもらい、その結果を共有していただければうれしいです。

著者プロフィール

松田 正(みさとファミリークリニック[埼玉県三郷市]院長)●まつだ ただし氏。1987年日本大学医学部卒。1991年日本大学大学院医学研究科博士課程修了。1990~92年にかけて米国アイオワ大学心臓血管研究所に留学。日本大学医学部内科学兼任講師を経て、2006年にみさとファミリークリニックを開業。もともと漢方薬は全く使用していなかったが、大野修嗣氏(元日本東洋医学会副会長)との出会いから、漢方の可能性に目覚める。大野氏に師事しながら、頭痛をはじめ内科・小児科領域の様々な疾患に対して漢方薬による治療を実践している。

連載の紹介

松田正の「急性疾患にこそ漢方薬を!」
「漢方薬は急性疾患にこそ有用!」という松田氏が、漢方薬の効果を速やかに引き出す「タイミングと用量のコツ」を交えながら、明日の急性期診療にすぐに役立つ漢方薬の使い方を紹介します。ぜひ読者の先生方にも試していただき、ご感想やより良い使い方のご提案をお待ちしています。

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