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第2回 片頭痛
片頭痛の急性期治療には「五苓散+呉茱萸湯」

2021/09/06
松田 正(みさとファミリークリニック院長)

 片頭痛の急性期治療では、トリプタンや非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が頻用されています。ただし、一般的には、アセトアミノフェンやイブプロフェンは小児の患者では有効性を感じられるものの、成人になるにつれて効果が減弱していくことが多いと言われています。トリプタンは12歳以上でないと使用できず、妊婦や授乳中の女性への使用には細心の注意を要します。加えて、いずれの西洋薬も薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)を誘発するリスクがあり、使用にあたっては患者が多用し過ぎないように注意する必要があります。

 一方、漢方薬は小児期・青年期をはじめ、妊娠中や授乳中の女性、透析中の患者さんにも絶対的禁忌がなく比較的安全に使用できること、薬物乱用への移行リスクが低いことが大きなメリットです。そして何よりも、片頭痛に対する漢方薬治療は、トリプタン注射にも匹敵するような即効性と有効性があることを実感し、その実績を国際頭痛学会、日本頭痛学会、日本小児科学会、日本小児神経学会などで発表しています。

 片頭痛に用いられる漢方薬としては五苓散(ごれいさん)と呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が有名です。それぞれ単独で、1日3回内服で用いられるのが一般的ですが、その使用方法では有効率は50%に届かないと私は考えています。当院では、「五苓散と呉茱萸湯の同時投与」という手法を用い、片頭痛の急性期治療を実施しています。2つの漢方薬の併用というよりも、“呉茱萸五苓散”ともいうべき新たな漢方製剤として使用しているというイメージです(関連記事:「片頭痛こそ漢方が効く」という医師の裏技)。

 急性期に用いる漢方薬はタイミングと投与量が大切です。五苓散と呉茱萸湯の同時投与については、「7分間隔で2回連続の投与」がポイントになります。実際の症例を通して、使用方法をご紹介します。

著者プロフィール

松田 正(みさとファミリークリニック[埼玉県三郷市]院長)●まつだ ただし氏。1987年日本大学医学部卒。1991年日本大学大学院医学研究科博士課程修了。1990~92年にかけて米国アイオワ大学心臓血管研究所に留学。日本大学医学部内科学兼任講師を経て、2006年にみさとファミリークリニックを開業。もともと漢方薬は全く使用していなかったが、大野修嗣氏(元日本東洋医学会副会長)との出会いから、漢方の可能性に目覚める。大野氏に師事しながら、頭痛をはじめ内科・小児科領域の様々な疾患に対して漢方薬による治療を実践している。

連載の紹介

松田正の「急性疾患にこそ漢方薬を!」
「漢方薬は急性疾患にこそ有用!」という松田氏が、漢方薬の効果を速やかに引き出す「タイミングと用量のコツ」を交えながら、明日の急性期診療にすぐに役立つ漢方薬の使い方を紹介します。ぜひ読者の先生方にも試していただき、ご感想やより良い使い方のご提案をお待ちしています。

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