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感染症科の朝は血液培養から始まる
コロナ下でも一般感染症に対する診断、治療の基本姿勢を忘れずに

2021/03/23

 さて、「春はあけぼの」は枕草子ですが、感染症科の朝は「血液培養」から始まります。血液培養が「趣深い」のかどうかは個人によって受け止め方に差がありますが、感染症科には極めて重要な検査です。なぜなら、血液検査で細菌陽性である場合、ごく一部のコンタミネーション(皮膚などの常在菌が血液に混入した状況であり、病原性はないと考える)や例外を除き、「絶対に」何らかの感染が存在しているからです。

 毎朝、細菌検査室へ赴き、その日に陽性になった血液培養のグラム染色の結果を聞きつつ、その場で得られる情報から患者さんの状況を色々と推察し、「乳腺外科で、ベータ溶血性連鎖球菌の菌血症だとリンパ節郭清後の上腕の浮腫に伴う蜂窩織炎だろうか。トキシックショックになっていないか注意」とか「消化器外科の入院患者さんで、腸球菌が血液培養から2セット陽性だと、繰り返す胆管炎の入院だろうか(腸球菌は繰り返しセフェム系抗菌薬が投与された場合にbreak throughとして陽性になりやすい)」などど、ぶつぶつ言いながら、カルテをチェックするのが、ここ10年の私の朝のルーチンです。以前は、患者さんを前にして、じっくり問診、診察を行うスタイルでしたが、香川県に赴任してからは、血液培養の結果から、鑑別、必要な検査、予想される身体所見、追加で必要な問診事項を素早く考えるようになりました。

著者プロフィール

横田恭子(香川県立中央病院)●よこたきょうこ氏。1998年香川医大卒。その後、内科研修を行い、2003年から聖路加国際病院、国立国際医療センターで感染症科研修を行う。2006年から2008年まで英国の大学院で臨床微生物学、疫学、熱帯医学を学ぶ。その後、聖路加国際病院、香川大学を経て、現在は香川県立中央病院部長。

連載の紹介

Dr.横田の「感染症見聞録」
麻疹や風疹、梅毒やインフルエンザ等々、感染症は今も医療の中心テーマであることに変わりありません。コンサルテーションを中心に活動している感染症専門医の横田恭子先生に、「楽しく、そして為になる感染症の話題」を世界中からピックアップし、正しい知識を得るためのきっかけをお話しいただきます。

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