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Respiratory Medicine誌から
気管支鏡検査後の抗菌薬は結局、必要なのか?

2021/12/21
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 長らく議論されている、……というかたまに呼吸器内科同士の世間話として挙がる話題に「気管支鏡後の抗菌薬」というものがあります。口腔内の雑菌などを末梢気道に押し込むわけですから、免疫不全の患者さんの場合、それが肺炎のリスクになる可能性も当然あります。しかし、気管支鏡検査後に肺炎で困ることなんてそうそうありません。その日の夜に発熱を来すことはよくありますが、菌血症による発熱というよりも、しんどい検査でいろいろサイトカインが出ちゃって……という状況が多いのも事実です。

 日本国内では48施設4942人という大規模なJ-BRONCHO試験1)がよく知られており、予防的抗菌薬投与は気管支鏡検査後の抗菌薬治療の必要性リスクや続発性感染症のリスクを減らすことはできませんでした(傾向スコアでマッチさせたコホートとの比較で、それぞれのオッズ比は0.79[95%信頼区間0.49-1.27]、1.02[95%信頼区間0.59-1.77])。また、抗菌薬治療群で有意に下痢が多いことが示されました。これによって、気管支鏡検査に際して抗菌薬をルーチンに投与する意義はほぼついえたと思われていたのですが、なぜかこれはまだ論文化されていません。

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」で論文の解説やエッセイを執筆。著書は『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、他多数。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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