
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の喘息合併例、喘息のCOPD合併例のいずれも、「喘息とCOPDのオーバーラップ(asthma and COPD overlap:ACO)」と呼びます1)。特に慢性疾患の管理については比較的参考になる先進国の論文を基本的に読むようにしているのですが、日本と海外では診療事情が異なるのも事実です。その点、日本ではACOの論文がとても少ないのが現状です。
過去の研究では、喘息において胸部HRCTなどの評価でCOPD を合併していると診断された人の割合は19.4~22.7%で2)、逆にCOPDにおいて呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)などの評価で喘息を合併していると診断された人の割合は7.8~16.3%と報告されています(図1)3)。それなりの頻度で両者は合併するのです。

図1 COPDにおけるFeNO分布(文献3より改変引用)