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電子たばこを併用した禁煙治療は有効か?
Lancet Respiratory Medicine誌から

2019/11/25
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 2019年9月11日、トランプ大統領が米国内で香料付き電子たばこを全面的に禁止する方針を発表しました。これは、電子たばこの吸入により複数の肺傷害事例が報告されているためです1)。個人的には、大麻成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)などを混ぜて使っている電子たばこのリスクが高いように思います(ニュースでは、THC使用率が全体の7割以上と報道)。

 禁煙治療の世界では、電子たばこは一定の地位を得ています。ニコチン置換療法(ニコチンパッチ)との比較でも、1年禁煙率は、電子たばこ群のほうが約2倍高いことが示されています(相対リスク1.83、95%信頼区間1.30~2.58、P<0.001)2)

 私たち医療従事者は、嗜好品としての電子たばこと禁煙補助ツールとしての電子たばこを分けて考える必要があります。適度にニコチンの量を調節した電子たばこは、ニコチンパッチと比べると効果的に禁煙へ導けることは間違いないというデータがあるのです。一方、嗜好品の電子たばこは、ただただ楽しむだけのもの。健康被害が起こっても仕方ないでしょう。

 紹介する論文は、Lancet Respiratory Medicine誌に掲載された「禁煙治療における電子たばこ(ニコチン含有・非含有)を併用したニコチンパッチ:実践的ランダム化比較試験(Nicotine patches used in combination with e-cigarettes (with and without nicotine) for smoking cessation: a pragmatic, randomised trial)」(Walker N, et al. Lancet Respir Med. 2019 Sep 9. pii: S2213-2600(19)30269-3. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30269-3.)です。

 ニュージーランドで行われた本研究は、6カ月の禁煙治療において、ニコチンパッチに電子たばこ(ニコチン含有・非含有)を併用する効果を検証したものです。

 電子たばこを吸ったことがない、禁煙の意志がある成人喫煙者を国内メディア広告によって募りました。そうして集まった被験者をランダムに1:4:4の割合で、

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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