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胸腔ドレーンからウロキナーゼ投与はもう古い?
ERJ Open Research誌から

2019/11/11
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 膿胸に対する治療といえば、胸腔ドレナージと長期の抗菌薬投与です。胸腔ドレナージを併用しないと、膿を排出できませんが、膿胸の治療を日ごろ行っていると必ずブチ当たるのが「多胞化問題」です。

 膿がキレイに横隔膜の上に貯留してくれていればよいのですが、強い炎症によって臓側胸膜が分厚くなり、膿の塊が胸腔内のアチコチで多胞化することがあるのです。これが多胞化問題。シャレではありませんが、主治医も“多忙化”してしまいます。

 多胞化すると、胸腔ドレナージを1カ所だけから行っても意味がなく、2本目のドレーンを入れたり、胸腔鏡による外科掻爬を実施したりする必要があります。

 そういう侵襲性の高い処置を回避する方法が、線維素溶解療法です。日本では古くからウロキナーゼが用いられてきましたが、海外では現在、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)とデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)を併用するのが主流です。これは2011年に両者併用によって透過性低下領域が少なくなるというアウトカムが示されたためです(図11)

図1 t-PA/DNAseの併用効果(文献1より引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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