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日本人のオピオイド誘発性便秘の頻度は?
Cancer Medicine誌から

2019/09/23
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 癌の疼痛管理など、実臨床でオピオイドを使う機会はとても多いですが、副作用で気になるのは便秘です。どのくらいの患者さんがオピオイド誘発性便秘(OIC)で苦しんでいるのか、日本人の癌性疼痛患者さんを対象に検証した論文を紹介しましょう。

 今日紹介する論文は、Cancer Medicine誌に掲載された「日本人の癌性疼痛患者におけるオピオイド誘発性便秘の頻度(Incidence of opioid-induced constipation in Japanese patients with cancer pain: A prospective observational cohort study.)」(Tokoro A, et al. Cancer Med. 2019 Jun 24. doi: 10.1002/cam4.2341.)です。

 さて、便秘の定義が大事になります。妥当性の担保のため、この研究では複数の基準によって評価されています。それが、「Rome IV基準」「医師による臨床評価」「自発的排便回数/週(SBMs)」「Bowel Function Index(BFI)スコア」です。

 多施設共同前向き観察研究において、OICに陥った日本人の癌性疼痛患者さんをアセスメントしました。適格基準とされたのは、ECOG PS(ECOGが設定した全身状態の指標)が0~2の癌性疼痛患者さんで、基礎疾患として便秘症がない人です。直近で手術や放射線治療を受けた患者さんは、本研究の除外対象となっています。

 合計220人の患者さんが登録されました。平均モルヒネ相当量は22mg/日と比較的低用量の人が多くを占めていました。

 Rome IV基準によると、累積OIC発症率は56%(95%信頼区間49.2~43.9%)で、1週目で48%(95%信頼区間40.8~54.6%)、2週目で37%(95%信頼区間30.1~43.9%)となりました(図1)。主治医評価によるOCI発症率は61%(95%信頼区間54.3~68.1%)、SBMの頻度によるOIC発症率は45%(95%信頼区間38.0~51.8%)、BFIスコアによるOIC発症率は、59%(95%信頼区間51.9~66.0%)でした。

図1 OICの頻度(文献より引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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