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睡眠時間が短いほど心房細動を発症しやすい?
Chest誌から

2019/05/27
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 最近、子どもの咳やらいびきでなかなか眠れない私。妻にそのことを言うと、「あなたのいびきも大概です」と一蹴されました。

 さて、「ショートスリーパー」っていうカッコいいフレーズがあります。どこからがショートスリーパーなのかは分かりませんが、飲み会で「オレ、毎日30分しか寝てないんだよね」とドヤ顔している人がたまにいますよね。そんな人にグサッと刺さるネタになりそうな論文を1つ紹介しましょう。

 今日紹介する論文は、Chest誌に掲載された「睡眠時間の短さと心房細動の関連(Association of short sleep duration and atrial fibrillation.)」(Genuardi MV, et al. Chest. 2019 Feb 27. pii: S0012-3692(19)30196-5.)です。

 1999年から2015年に、睡眠時無呼吸症候群などの診断に用いられるポリソムノグラフィを受けた3万人以上の被験者を登録し、同時に持続的心電図で心房細動と診断された人を抽出した大規模な報告です。とはいえ、全例の心電図を個別にチェックしたわけではなく、診断コードを用いて抽出しています。ロジスティック回帰およびCox比例ハザードモデルを用いて、年齢、性別、BMI、高血圧、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心不全、睡眠時無呼吸の重症度で補正し、睡眠時間と心房細動の有病率・罹患率の関連を調べました。

 さて、3万人のうち心房細動があったのは404人でした。思ったより少ない印象ですね。上記の背景因子で補正すると、睡眠時間が1時間減るごとに、心房細動の有病率が1.17倍増加するという結果が得られました(95%信頼区間1.11~1.30)。
 
 また、4年あまりの追跡において、ベースラインに心房細動がない2万7589人のうち、1820人が心房細動を新たに発症しました。これについても背景因子で補正すると、睡眠時間が1時間減るごとに、心房細動の罹患率が1.09倍増加することになります(95%信頼区間1.05~1.13)(図1)。

図1 睡眠時間ごとの心房細動に罹患しなかった人の割合(文献より引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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