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気管支鏡検査の鎮静に魅力的な新薬が登場!?
Chest誌から

2018/12/24
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 気管支鏡検査における鎮静は、多くの施設がベンゾジアゼピン系のミダゾラム(商品名ドルミカム他)を用いていると思いますプロポフォール(商品名ディプリバン他)はエビデンスが豊富ですが、少数派でしょう。プロポフォールは機序的にはかなり有効なのですが、治療域の個人差があるため、過量投与によって全身麻酔にまで至ってしまうリスクがあります。そして、プロポフォールには拮抗薬がないという点も問題になります。

※おそらく全体の半数かそれよりやや多い施設が常用的にミダゾラムを用いているとのこと。某エキスパート談。

 そのため、気管支鏡検査における鎮静はやはりベンゾジアゼピン系が安全だとされているのです。基本的には低用量で使用し、反応を見ながら少量ずつ増量していく手法を用います。

 今回紹介する論文は、Chest誌に掲載された「気管支鏡中の中等度の鎮静に対するプラセボおよびミダゾラムと比較したレミマゾラムの効果と安全性(Safety and Efficacy of Remimazolam Compared to Placebo and Midazolam for Moderate Sedation during Bronchoscopy.)」( Pastis NJ, et al. Chest. 2018. pii: S0012-3692(18)32498-X. [Epub ahead of print])です。ちなみに、レミマゾラムとは短時間作用型のベンゾジアゼピン系麻酔・鎮静薬で、まだ世界でも発売されていません(12月21日に「全身麻酔の導入及び維持」の効能・効果で、日本国内における製造販売承認申請が行われました)。

 研究は米国の30施設で行われた、前向き二重盲検ランダム化他施設共同並行群間試験です。軟性気管支鏡を挿入する際のレミマゾラムの効果と安全性について、プラセボおよびオープンラベルのミダゾラムと比較しました。それにしても、プラセボ群を設定するってすごいですね! まぁ、無鎮静で気管支鏡検査はできないことはないですが、ここであえてのプラセボ群。漢(おとこ)気あふれる臨床試験です。

 さて、レミマゾラム群の鎮静成功率は80.6%でした(表1)。かなり高い成功率です。そして、プラセボ群は4.8%(P<0.0001)、ミダゾラム群は32.9%でした。ミダゾラム群が何だか低過ぎるのが気になりますが、プラセボ群の何人かでレスキュー鎮静薬を使わずに処置が完遂できているという現象が起こっています。プラセボもすごいですが、患者さんもすごい!

表1 プライマリ効果エンドポイント(文献より改変引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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