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CPAPで鼻マスクと口鼻マスクを選ぶポイント
Respirology誌から

2018/11/12
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対する経鼻的持続陽圧(CPAP)療法を選択するとき、基本的には鼻マスクを選ぶことが多いです。口まで覆ってしまうと閉塞感がありますし、マスクのせいで逆に眠れないという事態が起こりやすいからです。そのため、患者さんも多くの場合、鼻マスクを好まれます。

 鼻マスクと口鼻マスクを比較したメタアナリシス1)では、口鼻マスクの方が空気圧を高く維持できたのですが、残存無呼吸低呼吸指数(AHI)やアドヒランスが不良だったと報告されています。ただ、やみくもに両者を比較するのではなく、どういう患者さんがそれぞれのマスクに合うのかを検討すべきだと考えたのが、今回紹介する論文です。

 今回の論文は、Respirology誌に掲載された「睡眠時無呼吸のアジア人患者に対する適切なマスクの選択:CPAPインターフェイスのランダム化クロスオーバー試験(Choosing the right mask for your Asian patient with sleep apnoea: A randomized, crossover trial of CPAP interfaces)」(Goh KJ , et al. Respirology. 2018 Sep 6. doi: 10.1111/resp.13396.)です。

 この研究では、鼻マスク、鼻ピロー(nasal pillow)、口鼻マスクによるCPAP療法のアドヒアランスと効果をアセスメントするため、中等症から重症のOSAに対するCPAP療法において、マスクインターフェイスのランダム化クロスオーバー試験を実施しました。鼻ピローという言葉に聞き覚えがない人もいるかもしれませんが、少し大きめの鼻カニューレをイメージしてください。ネーザルハイフローなどを用いるときに使う、あれと似ています。顔のカバー率をなるべく少なくしているため、快適性も高いですし、顔に跡が残りません。ただ、結構外れやすいというデメリットがあります。

 さて、それぞれのマスクのアドヒアランスと、そのマスクに合う患者の特徴などを調べるために、患者背景、鼻閉塞症状評価(NOSE)スコア、頭部・顔面サイズを調べました。

 合計85人の患者が研究に組み込まれました(平均年齢46±12歳、平均BMI29.9±5.6kg/m2、平均AHI 53.6±24.0イベント/時)。アドヒアランスについては、鼻マスクのほうが口鼻マスク、鼻ピローよりも有意に良好でした(鼻マスク:平均夜間使用時間3.96±2.26時間/晩、口鼻マスク:同3.26±2.18時間/晩、鼻ピロー:同3.48±2.20時間/晩)。残存AHIについては、口鼻マスクの方が鼻マスク、鼻ピローよりも有意に高い値を示しました(口鼻マスク:7.2±5.2、鼻マスク:4.0±4.2、鼻ピロー:4.1±3.3)。

 85人中22人(25.9%)の患者さんにおいては、口鼻マスクが最も良好なアドヒアランスを得られました(残りの63人との比較:平均夜間使用時間4.22±2.14 vs 2.93±2.12時間/晩、P=0.016)(表1)。意外と多いですよね。なぜ口鼻マスクの方が良かったのかを調べたところ、これらの患者は、NOSEスコアが低く(15点[範囲0~35点] vs 40点[範囲10~55点]、P=0.024)、「下顎~下唇点の長さ」÷「両眼幅」の割合が大きかった(31±3% vs 28±4%、P=0.019)ということが分かりました。

表1 各種マスクのアドヒアランス別の患者特性(文献より改変引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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