
肥満喘息とは、その名の通り、肥満の患者さんに見られる喘息のことです。肥満大国アメリカではかなり多いとされていますが、日本ではそれほど頻繁に診ることはありません。肥満によって末梢気道が物理的につぶれるので喘息が起こりやすいのは確かですが、レプチンが好酸球の炎症局所への遊走を促進したり、アディポサイトカインがステロイド感受性を低下させたりと、病態生理にはいろいろな説があるようです。
肥満喘息は女性に多いことが分かっていますが1)、ほとんどが海外のデータなので、後ろ向きデザインではあるものの日本での報告は貴重だと思います。
今回、紹介する論文は、Respiratory Investigation誌に掲載された「日本の成人集団における肥満関連重症喘息(Obesity-associated severe asthma in an adult Japanese population)」(To M, et al. Respir Investig. 2018;S2212-5345(18):30183-7.)です。
この後ろ向き観察研究では、合計492人の喘息患者さんが登録されています。患者さんはBMIが25kg/m2以上の肥満群と25kg/m2未満の非肥満群の2群に分けられました。
患者背景として、年齢、喫煙歴(pack-years)、長期管理薬使用、スパイロメトリーデータは肥満群と非肥満群で差は見られませんでした。
さて、女性コホートにおいて、喘息の年間増悪率および頻回な増悪は、肥満群のほうが非肥満群よりも有意に高いという結果が得られました(表1)。ただし、男性コホートではこの有意差は観察されませんでした。多変量ロジスティック回帰分析を行うと、女性コホートにおいて肥満の存在は喘息の頻回の増悪と独立して関連していることが分かりました。

表1 本コホートにおける男女別の喘息プロファイル(文献より引用改変)