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クリニックで遭遇する百日咳PT-IgG抗体陽性例の特徴とは?
日本呼吸器学会誌から

2018/08/27
倉原優(近畿中央胸部疾患センター)

 百日咳の診断は、現在では検査精度の高い百日咳菌LAMP法やノバグノスト百日咳/IgMが有効であるとされていますが、従来のPT-IgG抗体価の上昇でもって診断されていることも多いです。PT-IgG抗体は百日咳菌に特異性が高い検査で、単血清で抗体価が100EU/mL以上あれば、最近(特に4週間以内)の百日咳感染の指標になるとされています。ただし、感度は70%台と高くありません。

 今回の論文は、日本呼吸器学会誌に投稿された「遷延性咳嗽にて一般診療所を受診したPT-IgG抗体価高値成人百日咳の臨床的特徴」(雨宮徳直ら. 日呼吸誌, 2018;7:125-130.)です。

 「日本語の論文かい!」とツッコミが入りそうですが、クリニックレベルでかなりの数を検討されている論文だったのでぜひとも紹介させていただきたいと思いました。

 この論文は、2015年5月1日から2017年5月31日までの約2年間、遷延性咳嗽(咳嗽期間が3~8週間)を訴えてクリニックを受診した成人患者さんのうち、PT-IgG抗体価が100EU/mL以上になった症例を検討したものです。

 2年間に遷延性咳嗽で来院したのは926人(男性392人、女性534人)です。1日1人以上、遷延性咳嗽で受診している計算になりますね。かぜ症例は恐らく除外されているでしょうから、かなり多いなと感じました。PT-IgG検査を施行されたのは530人(男性201人、女性329人)と半数以上で、そのうちPT-IgG抗体価が100EU/mL以上の陽性になったのは52人(測定された人の9.8%、遷延性咳嗽の5.6%)(男性18人、女性34人)でした。つまり、長引く咳でやってきた人の18人に1人は百日咳であろうと推察されるわけです。PT-IgG抗体陽性例の臨床的特徴はの通りです。

表 PT-IgG陽性52症例の臨床的特徴(文献より改変引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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