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European Respiratory Journal から
小児のウイルス性喘鳴に硫酸マグネシウム静注は無効

2018/05/18
倉原優(近畿中央胸部疾患センター)

Medic Artより

 「重症喘息発作に硫酸マグネシウムの静注は効く?」(2016/3/18)でお伝えしたように、成人喘息発作の伝家の宝刀として位置づけられていた硫酸マグネシウムの立ち位置がゆらいでおり、実臨床での有効性に疑問符がついています。ただ、懐疑的な意見が出始めてからの成人喘息発作に対するメタアナリシスはまだありませんので、結論は保留状態です。

 私自身はどうかというと、実は、前回の記事を書いた2016年以降、重症の喘息発作をほとんど経験していないのです。これはなぜかというと、吸入薬の進歩と普及が目覚ましいからです。クリニックレベルですぐに処方されることが増えたため、重積発作でやってくる喘息患者さんは年々減っているように感じています。そのため、硫酸マグネシウムを使わなければならないようなケースは今のところ経験していません。

 さて、硫酸マグネシウムの有効性が小児でもちょっと疑問視されるようになりました。

 今回の論文は、European Respiratory Journalに投稿された「若年小児の急性喘鳴に対する硫酸マグネシウム静注:ランダム化二重盲検試験(Intravenous magnesium sulfate for acute wheezing in young children: a randomised double-blind trial)」(Pruikkonen H, et al. Eur Respir J. 2018 Feb 7;51(2). pii: 1701579. doi: 10.1183/13993003.01579-2017.)です。

 この研究では、生後4カ月~4歳までの61人の小児を登録しました。適格基準は、初期サルブタモール治療が無効だったRDAI(Respiratory Distress Assessment Instrument、)6点以上の重度のウイルス性喘鳴がある児です。私は成人呼吸器患者さんを主体にみているので、陥没呼吸を目にすることは多くありませんが、小児の場合陥没呼吸は肋骨よりも鎖骨・胸骨でみられる方が重症とされています。

表 RDAI(Respiratory Distress Assessment Instrument)(文献より引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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