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Respiratory Investigation誌から
あなたの地域では、M.aviumとM.intracellulareのどちらが多いですか?

2018/04/06
倉原優(近畿中央胸部疾患センター)

 Mycobacterium avium complex(MAC)には、M.aviumM.intracellulareがあります。実臨床ではこれら2菌種を区別して扱うことはありませんが、日本では地域によって検出率に差があることが知られており、またエキスパートオピニオンでは臨床的な特徴にも差があるのではと考えられています。

 国内のMACの臨床的特徴を調査した研究が、発表されました。ちなみに、筆頭著者は私の直属の上司です。

 今回の論文は、Respiratory Investigation誌に投稿された「クラリスロマイシン流通後のM. aviumおよびM.intracellulare肺疾患の臨床的意義と疫学的解析(Clinical significance and epidemiologic analyses of Mycobacterium avium and Mycobacterium intracellulare lung disease from post-marketing surveillance..)」(Suzuki K, et al. Respir Investig. 2018 Jan;56(1):87-93.)です。

 この研究は、クラリスロマイシンが市場に流通した後の130施設におけるデータを解析したものです。M.avium感染症患者とM.intracellulare感染症患者を比較しました。

 登録された368人の患者を解析したところ、67.4%がM.avium感染症、32.6%がM.intracellulare感染症でした。層別化解析で、両病原菌で性別、疾患タイプ、合併症、既往歴、喫煙歴に差は観察されませんでした。しかしながら、M.intracellulare感染症は肺に基礎疾患を有している患者に多かったのです(p=0.0217)。また、M.intracellulare感染症の患者は、高齢であるほどその感染率が増えていきました(p=0.0296)。年齢に伴う肺野の変化は、女性に顕著でした(p=0.0018)。

 地域について詳しくみてみると、中国四国地方および九州地方ではM.intracellulare感染症が多く、M.avium感染症はそれ以外の地方に多かったそうです()。実はこれは昔から知られていたことですが、こうして実際に数字で示されると、「へぇ」と感じますね。

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

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