日経メディカルのロゴ画像

外傷性気胸に胸腔ドレナージは要らない?

2018/01/19
倉原優(近畿中央胸部疾患センター)

 私は救急救命センターに勤めているわけではないので、スーパー救急医である薬師寺先生あたりに解説をお願いしたいテーマでもありますが、とりあえず論文を紹介しましょう。ここはそういうコーナーだから。

 当院には外傷性気胸が来ることはほとんどありません。年1~2回くらいです。最近、「肺が虚脱してるから胸腔ドレーンを入れましょうというプラクティスなんて古いぜ」という意見が出始めていまして・・・。みなさんご存知ですか?論文の流れを見る限り、この風潮はイギリス発信です。

 穿刺吸引のみで治る気胸が結構多く、胸腔ドレナージなんてやりすぎだということが分かってきました。例えば、自然気胸の患者さん73人に対して、初期治療としての穿刺吸引と胸腔ドレナージを比較した研究1)があります。これによれば穿刺吸引だけで80%が治ったとされています。また、気胸に対して初回治療に穿刺吸引を行う場合と胸腔ドレーンを挿入する場合を比較した別の研究2)においても、穿刺吸引群のうち、1回目の穿刺で何と半数が治癒し、2回目の穿刺を受けた24人ではその46%が治癒しました。最終的に胸腔ドレナージに踏み切ることになったのは30%だったそうです。入院期間も、穿刺吸引で頑張った方が短かったのです。胸腔ドレナージをできるだけ回避するというコンサバなプラクティスが有効ということですね。

 今回紹介するのは、CHEST誌に投稿された「外傷性気胸における保存的マネジメント:観察研究(Conservative Management in Traumatic Pneumothoraces: An Observational Study.)」(Walker SP, et al. Chest. 2017 Nov 15. pii: S0012-3692(17)32917-3. doi: 10.1016/j.chest.2017.10.015.)です。

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。自身のブログ「呼吸器内科医」を基に『ねころんで読める呼吸のすべて』(2015年)、『咳のみかた、考えかた』(2017年)などの書籍を刊行している。

連載の紹介

Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。呼吸器診療に携わる医療従事者が知っておくべき薬や治療、手技の最新論文の内容を、人気ブログ「呼吸器 内科医」の著者が日々の診療で培った知見と共に解説します。呼吸器診療の最先端を学べる臨床連載です。

この記事を読んでいる人におすすめ