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3/6放送 TBS『駆け込みドクター!』から
ピロリ除菌で全身のがんが予防できる(かも)

2016/03/18
粂 康晴(薬剤師、康カフェ店主)

 3年間も続いた人気健康番組「駆け込みドクター!」がいよいよ最終回だということなので、テレビの前にきちんと正座して(うそです)拝見しました。

 最終回は2時間スペシャルで、テーマは「2時間で健康なカラダになる家族でみんなで総まとめスペシャル」。トピックが7つもあって、内容は盛りだくさんです。いつものように旅番組的な要素やグルメ番組のようなレストラン紹介も含まれていて、毎度のことながら「どこが駆け込みドクターなの?」と突っ込みたくてうずうずしてしまう、この番組の最終回らしい構成でした。

 内容がてんこ盛りの割に、このコラムで紹介したくなるような旬な医学ネタがなかなか出てこなかったのですが、「ピロリ菌が全身のがん化を促進する」という話題は新鮮でした。

 これは、今年1月に京都大学と科学技術振興機構が共同発表した研究成果です。これまでも、ピロリ菌が胃がんだけでなく、全身のがんの発症に関わっているのではないかとは言われていましたが、そのメカニズムが分かっていませんでした。今回の発表は、その仕組みに、ピロリ菌の病原タンパク質(CagA)が関連しているということを突き止めたというものです。今後の研究が期待されるとともに、ますますピロリ除菌の重要性が高まってきたと言えそうです。

 が、しかし……。この番組では、このオイシイ話題を「乳酸菌食品を摂取するとピロリ菌を大幅に減少する」という方向に持って行っちゃうんです。「ピロリ菌がいるかもしれないから、念のため乳酸菌食品を摂取するようにしましょう」なんていう啓発をするより、「医療機関でピロリ菌がいるかいないかを調べて、いたらきっちり除菌しましょう」と解説する方が、どう考えてもリーズナブルですし、国民の健康に貢献できると思うんですけど。何しろ、番組名が「駆け込みドクター」なんですし。

 ちなみに、抗菌薬で除菌する際に、乳酸菌食品を併用すると除菌成功率が上がるというデータも出ていました。耐性乳酸菌じゃないのに、抗菌薬に併用して意味があるのかな、という疑問もありますが、除菌でダメージを受けがちな腸内細菌叢にも優しそうですし、その提案はアリかなと感じました。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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