2016年を迎えましたが、今年も引き続き、健康番組をウォッチして参りますので、よろしくお願いいたします。
今回は、新春1時間スペシャルの「健康カプセル!ゲンキの時間」を見てみました。普段は日曜朝に放送される30分間の見やすい番組なんですが、お正月ということでたっぷり1時間の放送になったようです。
今回のテーマは「健康長寿の秘訣を発見!健康街ぶら1時間スペシャル」で、愛知県と静岡県が舞台だそうです。隣り合ったこの2県に、何があるのでしょうか。
実はこの2つの県は、厚生労働省による最新の都道府県別健康寿命ランキングで、上位にランクインしています。愛知県は男性1位で女性は3位、静岡県は男性2位、女性1位なんです。
ちなみに、ここでいう健康寿命の定義は「一生のうち、介護などを必要とせず日常生活を支障なく送ることができる期間」です。つまり、愛知県や静岡県では、寝たきりではなく健康に生活できているお年寄りが他の地域よりも多いわけです。そこで、この2県を「街ぶらして、その健康寿命の秘訣に迫ろう」というのが今回の番組です。
番組は、愛知県からスタートします。舞台は、愛知県一宮市の朝の喫茶店。ここには元気な高齢者が集まっているようです。愛知県ではコーヒーを注文するとトーストやゆで卵といった「モーニング」が付いてくるのが有名ですよね。もしかして、これがゲンキの秘訣なのでしょうか? ちなみに、愛知県は「糖尿病による死亡率」も日本一低い県なのだそうですが……。
この喫茶店で元気な高齢者にインタビューしてみると、多くの方が「喫茶店まで歩いて来ている」ことが分かりました。ここで、医師による解説です。なんと「食後30分以内にウォーキングなどの運動をすると食後の血糖値が上昇しにくい」のだそうです。だから、愛知県の人は健康長寿が長く、糖尿病死亡率も低いのだと。なんだか、こじつけっぽい感じもしますけど、確かに「食後30分以内に歩くこと」は健康によさそうなので、よしとしましょう。
それから、愛知といえば「名古屋メシ」が有名です。番組で取り上げたのは「八丁味噌」でした。八丁味噌は、糖質も低くて塩分も低い、優秀な食材なのですが、今回は「活性酸素の除去作用」に注目していました。白みそや赤みそといった他の味噌と比較して「八丁味噌だけが顕著に抗酸化作用を持つ」と、杉山女学園大学の江崎教授が視覚でわかる実験で示してくれました。なるほど、なかなか面白いですね。
お次は静岡県です。ここでは、水中で行う指圧「WATSU」という水中リラクゼーションを紹介。医師によると、これによって全身の血行がよくなり、関節も楽に動かせるのが健康によいポイントだそうです。でも、これ、静岡県民のどれくらいの方が実践しているんでしょうか……。
静岡でも、グルメテーマはもちろんあります。注目の食材は「わさび」。抗酸化作用や毛細血管の血流改善効果があることを紹介していましたが、こちらも視覚的にわかりやすい実験で毛細血管の血流促進を証明していました。でも、静岡の人って、そんなに「わさび好き」なんでしょうか。生産量はともかく。
愛知県と静岡県、いずれもちょっとこじつけっぽく、「街ぶら」番組っぽいアプローチではありましたが、少なくとも高齢者の健康意識を高めようとする取り組みがこれらの地域で盛んであることは分かりました。やっぱり、こういった積極的な地域活動が、健康長寿の秘訣なんでしょうね。
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著者プロフィール
くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介
くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。
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