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10/15放送 NHK『総合診療医ドクターG』から
ドクターG◆止まらないしゃっくりの原因は?

2015/10/22
粂 康晴(薬剤師、康カフェ店主)

 いつものようにテレビ番組欄を眺めていたら、久しぶりに「総合診療医ドクターG」の名前を発見しました! ついに新シリーズが始まったようです。久々にレビューをしてみたいと思います。

 今回のドクターGは、この番組の最多出演を誇る大阪医大病院の鈴木富雄先生です。「病名から症状を整理するのではなく、症状から病名を絞り込んでいくのが総合診療医だ」とおっしゃる鈴木先生の診断ポリシーは、新シリーズの開幕にはもってこいなのかもしれません。

 取り上げる症状は「しゃっくり」です。以前、ためしてガッテンで取り上げられた「しゃっくり足症候群」とは関係ありません。本物の「しゃっくり」です。「吃逆が止まらない」が主訴の症例です。

 改めて調べてみると、吃逆というのは、延髄の異常興奮によって横隔膜の痙攣と声帯の閉鎖が同時に起こる状態だそうです。「しゃっくりを100回すると……」というのは、アニメ『ちびまる子ちゃん』でも取り上げられたことのある有名な都市伝説ですが、もちろん医学的な根拠はありません。でも今回は、「止まらないしゃっくり」を、ドクターGが取り上げているわけです。

 いつものように、再現ドラマが何回かに分けて流されます。最初に流れたドラマでは、しゃっくりが出て止まらないということしか分かりません。最初の数分だけ見て、出演する現役の3名の研修医が疑い病名を提示するという段取りは今まで通りです。

 基礎データは血圧が高め、尿酸も血糖値も総コレステロールもすべて高めで、喫煙もしているとのこと。まあ、でも、だからといって、しゃっくりも生活習慣の乱れが原因だとは言えません。

 研修医の皆さんが、最初の疑い病名を挙げました。すると、3人とも疑い病名は「胸部大動脈瘤」で一致しました。まさか、このパターン、いきなり全員正解だったりして? さすがに最初で全員正解じゃ番組として成立しませんから、違うんでしょうけど。

 続くカンファレンスでは、この疑い病名と合わない症状に迫っていきます。研修医の先生方は、胸部大動脈瘤は特に見逃したくない疾患なので、最初に鑑別に挙げたわけですが、鈴木先生は、そこは評価しつつも、中枢性の原因疾患も可能性があるのではないかと誘導します。

 続く再現ドラマでは、顔面の感覚などに異常がないことを示唆する場面に続いて、若干わざとらしく、この患者に「カーテン徴候」を発見します。カーテン徴候というのは、発声時に後咽頭壁のヒダが偏位する現象をいいます。これが見られる場合には、迷走神経や舌咽神経の障害が疑われるのだそうです。

 この直後に2回目の疑い病名の提示に移ります。ここで研修医3人が出したのは「頸静脈孔症候群」「迷走神経麻痺」「咽頭喉頭癌」で、今度はきれいに分かれました。鈴木先生いわく、「この再現ドラマでは、カーテン徴候が認められたことから、首から上に原因があるということに気付いてほしかった」とのことでした。

 続く再現ドラマでは、原因を絞り込むために、顔面を金属のボールペンでなぞって顔面感覚を確認していくのですが、ここで「ボールぺンが右頬では滑って、左頬では滑っていない。だから、発汗に左右差があるのだ」と説明が入ります。ちょっとこれは映像的に分かりにくかったですし、研修医のみなさんも戸惑っているように見えました。テレビの限界でしょうか。

 ここまで来て「延髄」というキーワードが出てこない方が不自然だよなあ、と見ていると、いきなり延髄に話が展開して、あっという間に「延髄外側症候群」という最終病名にたどり着きました。

 最後は、ちょっと強引な感じはしたものの、新シリーズでも、ドクターGの軽やかなストーリー展開は健在だということが分かり、冬に向けて楽しみが増えました。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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