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2/25放送 NHK『ためしてガッテン』から
しゃっくり脚症候群としゃっくりの止め方

2015/03/03

 NHK『ためしてガッテン』が、またまた聞いたことのない面白いネタを提供してくれましたので、取り上げたいと思います。今回のテーマは「あしたから快眠SP」なんですが、実際は「しゃっくり脚症候群」の紹介でした。

 この「しゃっくり脚症候群」という病名、ご存じでしょうか。医学的には「周期性四肢運動障害」のことのようです。レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)と合併することも多いとされる、睡眠中の脚症状です(関連文献)。寝ている間に、脚がしゃっくりのように動くので、(番組が独自に?)この名前をつけたようです。400万人がこれで睡眠不足になっている、と紹介していました。

 確かに、番組で紹介された映像を見てみると、確かに足がひくひくっと、しゃっくりをしたように動いていました。番組に登場した、しゃっくり脚症候群による不眠に悩んでいる患者さんは、睡眠時間は確保されているのに昼間に眠かったり、朝からだるかったりといった症状があるとのことでした。

 ビデオでの確認と同時に、脳波と足の動きを確認していたのですが、足は20秒ごとに周期的に動いていることや、その動きの後に瞬間的に脳波が覚醒状態に近づいていることが判明しました。寝つきはよいが、何度も夜中に起きてしまい、眠剤が効かないことがしゃっくり脚症候群による不眠の特徴のようです。

 医学的にいえば、周期性四肢運動障害は、脊髄の異常興奮であり、フェリチンの低下が多くみられることが知られています。番組では、そのあたりを紹介をしつつ、フェリチンが増えて脳のドパミン分泌が増えると、脳が脊髄の興奮を抑えて症状が改善できることを解説します。番組に登場した周期性四肢運動障害の患者さんも、ドパミン受容体作動薬と鉄分の多い食事によって、症状が改善し熟睡できるようになったそうです。よかったよかった。

 で、この番組、しゃっくり脚症候群で通せばいいんですが、なぜか、ちょいちょい吃逆(きつぎゃく)、いわゆる「しゃっくり」のことを絡ませてきてまして、非常に分かりにくい構成になっていました。

 吃逆は、延髄の異常興奮によって横隔膜の痙攣と声帯の閉鎖が同時に起こるのが原因です。このメカニズムは、えら呼吸から肺呼吸への動物の進化に関係しており、肺に水を入れないために声帯が閉まるのだという説があるようです。へー、それは知らなかった。

 吃逆に関する他の話は、かなりどうでもよかったのですが、個人的にトリビアだったのは「しゃっくりの止め方」です。びっくりさせるとか、コップの水を一気に飲むとかという都市伝説(?)を紹介しつつ、医師が教えるしゃっくりの止め方として、「両耳に指を入れて強く押す」というのを紹介していました。

 吃逆は、前述の通り、延髄の興奮が原因なのですが、耳にも延髄につながる神経があるため、ここを押すことで延髄の異常興奮を抑えることができるとのことです。有効率は約70%だとか。

 これは、知りませんでした。軽くググってみたら、耳鼻科の先生に聞いたという「しゃっくりは、人差し指を耳に入れ30秒~1分待っていれば止まる」という技がネットでも話題になっているようです。ドクターの間では有名なのでしょうか。今度、しゃっくりが出たらやってみようと思います。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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