日経メディカルのロゴ画像

2/9放送 TBS系『私の何がイケないの?』から
プレクリニカルアルツハイマーって何ですか?

2015/02/16

 TBS系列で放送されている「私の何がイケないの?」で、ちまたで最近話題の「プレクリニカルアルツハイマー」を取り上げていましたので、見てみることにしました。

 この番組では、たまに健康ネタを取り上げているようで、今回は「危ない芸能人の脳検査 第2弾」です。昨年11月にオンエアされた第1弾では、67歳の蛭子能収さんがMCI(軽度認知障害)と診断されたり、57歳の大新田厚さんが隠れ脳梗塞と診断されたりしたようです。つまり、芸能人に脳のMRI検査を受けてもらい、その結果と芸能人の生活習慣を紹介しつつ、アラートを鳴らすという趣旨のようです。

 今回の最初のターゲットは44歳の西村知美さんです。西村さんは、長らく「いびき」に悩んでいて、専門病院で「睡眠時無呼吸症候群」と診断されました。血中酸素濃度は一時85%まで下がっていて、けっこう深刻な状況でした。睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中のリスクとも言われているので、確認のために脳のMRI検査を受けたところ、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)が見つかりました。

 西村さんの睡眠時無呼吸症候群は、舌根沈下が原因だったようです。人に比べて舌が長すぎ、下顎骨格も小さいからだとか。そこで西村さんはCPAP(持続式陽圧呼吸療法)を始め、2週間で睡眠時の無呼吸回数も激減、いびきも解消されたとのことでした。

 その後、西川史子さんが「ナルコレプシーかも」という話に軽く触れたあと、いよいよ、プレクリニカルアルツハイマーの話に突入します。

 2011年にNIA(米国国立加齢研究所)のアルツハイマー診断基準が27年ぶりに改訂されたのですが、プレクリニカルアルツハイマーは、その際に導入された概念で、MCIのさらに前段階に当たります(関連記事)。

 ここで、66歳の沢田亜矢子さんが登場しました。彼女は最近、頻尿に悩んでいるとのこと。頻尿の原因をいきなり認知症に求めるのは、だいぶ無理がある気もしましたが、とにもかくにも認知症の検査へ。すると、立方体知能検査で特徴的な結果を出た、とのことでした。番組では、立方体知能検査を「アルツハイマー型認知症テストで最も重要な検査」と紹介していましたが、それは、ちょっと言い過ぎな気もします。たまたま沢田さんの場合、この検査で異常が検出できただけなのではないでしょうか。

 そして、その後に受けた脳のMRI検査では、MCIと診断された蛭子さんよりも血流が悪い部分が多いことが判明します。プレクリニカルアルツハイマーは、認知機能障害が出ていない段階のアルツハイマー病ということになっているわけですが、必ずしもMCIより病状が軽いわけでもないし、その後の認知機能低下のスピードが遅いわけでもないということなのかもしれません。

 沢田さんが認知症予防のために取り組んだのが、スクワットのような筋力トレーニングと、ブロッコリーを毎日食べること。始めてから2週間で、脳波測定結果にわずかながら改善傾向が見られたようです。この他に、専門医からイチョウ葉エキスも紹介されていました。イチョウ葉エキスは、アルツハイマーに効果があると言われているサプリメントの一つです。

 この「プレクリニカルアルツハイマー」という病名、この番組に限らず、これからテレビや雑誌などで取り上げられることが増えそうです。突然、診察室で患者に聞かれてたじろぐことのないように、そろそろ医師のみなさんも情報収集を始めておいた方がよいかもしれません。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ