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1/19放送 テレビ東京系『主治医が見つかる診療所』から
脳の病気を早期発見するために大切なこと

2015/02/02

 今回は、テレビ東京系の『主治医が見つかる診療所』で「知らず知らずのうちに進み 命に関わる 怖い脳の病気」を特集していたので、見てみました。

 冒頭に、次のような説明がありました。「脳の病気は、かかってしまうと後遺症に苦しむことが多い。ピンピンコロリを実現するには、脳の病気にならないのが一番だが、もしなってしまったとしても、早期発見・早期治療ができれば後遺症を予防できる」。この「早期発見・早期治療」を実現するために、番組では、患者の実体験をいくつか紹介し、脳の病気の前兆のパターンを紹介していきます。

 最初は、「老化による物忘れと間違いやすい死の危険がある病」に罹患した方の再現ドラマです。この方の最初の症状は「起床時の頭重」でした。その数日後には、収穫した果物の大きさの区別がつかなくなったり、昼と夜の区別がつかなくなったりしてきます。

 75歳のこの男性は、家族から認知症が始まったと思われたのですが、翌日、手がコタツの上に上がらなくなったことから医療機関を受診してみると「慢性硬膜下血腫」と診断されました。この方は、翌日に緊急手術をして九死に一生を得ましたが、本人いわく「周りの家族が見ていてくれたから受診につながった。自分では症状の自覚がなかった」とのこと。やっぱり家族がいて、自分のことをきちんと見てくれているというのは大切なんですね。

 続いては、この「慢性硬膜下血腫」に罹ったことがあるゲストの若林豪さんの実体験を再現ドラマで紹介していきます。若林さんは、車での追突事故の直後に、10日間の検査入院をして「軽いむち打ち症」と診断されました。実は、その後に硬膜下血腫ができたようなのですが、検査入院の時点では診断されませんでした。硬膜下血腫が生じるまでに、2週間から3カ月もの期間がかかるからです。

 番組では、「若林さんは1カ月以上も硬膜下血腫に気づかずに放置してしまった」と説明していましたが、これは硬膜下血腫の場合、ある意味では避けようがないことだったのだと思います。硬膜下血腫に関して言えば、原因となったイベントから1カ月以上も経って症状が出る場合があるということを知っておくことが重要でしょう。

 若林さんは、舞台のセリフが覚えられない、まっすぐ歩こうとしているのに右に寄ってしまう、といったことで体の異常に気づいたのだそうです。この時点ですぐに受診すべきだったわけです。注意したいのは、症状が出てから数日で急激に悪化する場合があること。早期発見が何よりも大切です。

 そして最後は、突然のガーンという頭痛と嘔吐で翌日受診してみると「クモ膜下出血」だったという方の実例です。この方は、頭痛と嘔吐は翌日に治まったものの、風邪だと思って念のために受診したのですが、最初の医療機関では「胃腸炎」だと診断されました。

 その後、友人から「ろれつが回っていない」ことを指摘され、付き添われて脳神経外科を受診したところ、実は、すぐにでも命を落とす危険がある状態のクモ膜下出血だと診断されました。

 12月、1月は、クモ膜下出血による死亡者が増える時期だそうです。風邪の時期と重なりますので、頭痛や吐き気の症状を風邪と思ってしまうこともあるようです。

 慢性硬膜下血腫もクモ膜下出血も、きっかけとなるイベントから日数が経って発症したり、症状が軽かったりすることもあるので、ちょっとおかしいと思ったら「念のため受診」をすることが早期発見には大切だ、という説明がありました。

 しかし、番組内でも医師が発言していましたが、あまりに何でもかんでも受診されてしまうと、医療機関がパンクしてしまうことにもなりかねません。かといって、素人に自己診断で受診すべきかどうか判断しろというのも現実的ではありませんし。これは、なんとも「頭の痛い」問題ですねえ。なーんて。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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