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10/7放送 テレビ朝日系『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』から
名医は視診、触診、問診を重視する

2014/10/18

 ここ最近、健康番組ではダイエット特集が多いようです。食欲の秋を迎えるとともに身体のサイズを気にする方が増えてきているんでしょうか。NHK『ためしてガッテン』も、健康ネタではあったのですが、便秘スッキリとかぐっすり快眠とかいった、どちらかというと日常的な体調不良の解消のコツを取り扱っています。

 そんな中、『みんなの家庭の医学』は「長引く治らない症状 本当の原因をもう一度探ります!~名医のセカンドオピニオンSP」と銘打って、3時間スペシャルを放送してくれました。なかなか治らない症状を名医が診断してみたらこんな疾患だった、という内容です。

 最初の治らない症状は「腰痛」です。厚生中央病院の脊椎脊髄外科、駒形正志氏が診察で大事にしているのは「画像にだまされない」ことだそうです。視診、問診を重視する名医です。

 最初の症例は、間欠跛行が主訴の女性患者さんで、近医ではレントゲンを撮り「腰部脊柱菅狭窄症」と診断されました。しかし、なかなか治らず、痛みの起こる間隔も狭くなってきました。そこで、夫が探してくれた名医、駒形先生のもとへ。

 駒形氏の詳細な問診とMRI検査から導かれた診断名は「胸椎黄色靭帯骨化症」という難病でした。なんか聞いたことあるなあ、と思ったら、これ、東北楽天ゴールデンイーグルスの星野監督が診断された病気ですね。旬な話題ではあります。

 続いての直らない症状は「高血圧」です。東京都健康長寿医療センター副院長の原田和昌氏がセカンドオピニオンを出してくれます。

 69歳の女性が健康診断で初めて高血圧と指摘されて近医を受診し、生活習慣による高血圧と診断されます。降圧剤と減塩食でいったんは軽快したものの、1年ほどしてから服薬を継続しても血圧が下がらず、逆に上昇するようになりました。そこで近医が、専門医の原田先生を紹介します。

 原田氏は、朝の高血圧に注目し、内臓の疾患を疑います。そして、丁寧な診察で、睡眠時無呼吸症候群、心不全、動脈硬化、腎臓疾患の可能性をつぶしていきます。そして、自律神経の異常ではないかと思ってふと見ると、問診票に患者が書いた字が乱れているのに気づきます。

 こうして診断を進めた結果、「レビー小体型認知症」(関連記事)という診断に至りました。なるほど、ドネペジル(商品名:アリセプト)が世界初のレビー小体型認知症への適応追加を取得したばかりですもんね(関連記事)。これまたタイムリーな話題です。

 3つめの長引く症状は動悸で、名医は東邦大学医療センター大橋病院の循環器内科、諸井雅男氏です。健康診断ではいつもA判定だった54歳の専業主婦が突然、動悸に襲われます。近医で心電図検査を受け、軽度の不整脈と診断されました。

 しかし服薬しても軽快せず、飛蚊症や老人性イボの症状まで出てきたこの患者さんは、ドクターショッピングを始めます。いろいろな医療機関を受診して、あらゆる検査をしても軽度の不整脈としか診断されずにいたのですが、ついに諸井先生に行き着きました。

 諸井氏による丁寧な視診、問診、検査で、ついに「サルコイドーシス」を探り当てました。番組内では、「不整脈に、皮膚症状と飛蚊症があったら、専門医(循環器内科)を受診することをお勧めします」とありましたが、専門医でもなかなか診断がつかなかったのですから、おそらく現実には診断がとても難しいのだと思います。

 4つめは「肩こり」と「五十肩」です。肩こりは40代の女性なんですが、肩こりから徐々に全身の痛みに広がって、ついにひどい腰痛にもなってしまいます。ん? 1例目も腰痛でしたけど。

 もう20年も肩こりに悩んでいたこの患者さんは、セカンドオピニオンを受けるべく、三重大学病院の総合診療科、竹村洋典氏のもとを受診します。

 竹村先生は問診、触診、検査によって、疑い疾患である椎間板ヘルニア、甲状腺の病気、自己免疫性疾患を否定していきます。いずれもいったんは否定してから、しつこく診断を進めるのが名医の真骨頂です。結果、線維筋痛症と診断されました。

 続いて、五十肩の名医は東邦大大森病院の川合眞一氏です。68歳の男性は「肩関節周囲炎(五十肩)」と診断され、一度は薬で軽快したものの、両肩、両肘まで痛くなってしまいます。関節の痛みが全身に及んだ段階で、関節リウマチの疑いがあるということで、川合先生のもとを紹介受診しました。

 川合氏は視診、触診、問診、手のレントゲンで関節リウマチを否定した上で、患者さんの指の以上に気づきます。いわゆる「ばち指」です。すぐに肺のレントゲンを撮り、「肺がん」と診断されました。この患者さんの痛みは、五十肩ではなく、がんの痛みだったのです。

 今回のスペシャルは、「なかなか治らない症状が。実はこんな疾患だった」つながり、なわけですが、名医が登場して真の診断を行うというストーリーは、ドクターGを彷彿させます。名医は、ファーストオピニオンに惑わされることなく、いくつもの疑い疾患を自分の頭に描きながら、丁寧な視診、触診、問診、検査などを駆使して、それらを確認したり、否定したりしていきます。

 個々の症例の診断の難しさには、粘り強く探っていくところも、ここで挙がってきた疾患名もなんとなくドクターGと似ていますよね。珍しい病気もありましたので、すべてがこんな疾患ではないかもしれませんが、真の診断がつかない症状というのは意外とあるのかもしれませんね。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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