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9/26放送 NHK『総合診療医ドクターG』から
ドクターG◆青木眞先生も悩んだ診断を…

2014/10/12

 4月から2クールにわたって放映されてきた「ドクターG」のシーズン5が最終回となりました。このコラムでも何度も取り上げてきましたので、今回はこの最終回をご紹介します。ドクターGがどんな番組か、ご存じない方はこちらの回の前半をご一読ください。

 最終回のドクターGは、日経メディカルでもおなじみの感染症のスペシャリスト、青木眞先生です。青木先生ですから、当然、感染症の症例なんでしょうけど、番組中では青木先生が感染症のスペシャリストであることは触れられません。隠すってことは、やっぱり感染症だってこと? 研修医の皆さんは、薄々気づいていたのかもしれません。

 症例は、「夏バテが治らない」という35歳の男性。婿養子に入って義父の電気店で働いているという人間関係のストレスが描写されるのは、いつものことです。冒頭、診察室に入ってくる様子が明らかに息苦しそうでした。ファーストインプレッションは大事、大事。

 この男性は、2週間ほど前にエアコンのメンテをしていた頃から夏バテのような疲れがあったそうです。ところどころで咳をしている場面もあります。エアコンの中のカビが原因の過敏性肺臓炎かな、と思わせるシーンです。

 エアコンのメンテ後に、奥さんが生オレンジジュースにレモンを絞って出してくれたんですが、飲めません。これは、後で分かるんですが、「口内炎で酸味のあるものが飲みたくない」ということを意味していたようです。続いて、帰宅してから義父に小言を言われながらの夕食シーンでも、とんかつの衣をはがしたり、キムチを食べにくそうにしているんですが、これも口内炎だから。

 続いて、目の症状の紹介。まぶしさを感じているのと、目がぼやけて人を見間違えたりすると。極めつけは、受診の2日前に電気店にポスターを貼ろうとして、誤って画鋲を指に刺していました。これも、何か関係があるのか、ないのか。

 ここで、研修医による最初の疑い病名の提示です。「過敏性肺臓炎」「結核」「過敏性肺臓炎」。前回に続いて、今回も回答がかぶってきました。でも、過敏性肺臓炎は、私でも再現ドラマのワンシーンだけで思いついちゃってますから、さすがにないんじゃないかなあ。「結核」は、肺だけでなく全身を侵す病気なので、膠原病やがんなど、いろんな病気に見えることがあるという説明がありました。

 ここでドクターGから、病名と合わない症状に注目するように促されます。今回の症例では、口内炎と視力減退ですね。特に視力減退から、多発性硬化症などの神経疾患や、サルコイドーシス、ベーチェット病といった鑑別疾患が研修医の方々から挙がってきました。サルコイドーシスは、ドクターGが「私もそう思ったこともある」といきなり過去形で言及。どうやら、サルコイドーシスは違うみたい。

 続いて、ドクターGは、この段階で検査や問診で確認したいことを研修医に問いかけます。研修医からは、過敏性の確認や、目の検査といった声があがりました。

 再現ドラマに戻りまして、海外渡航歴や性感染症の可能性を問診で否定し、咳の経過確認、眼底検査、指の確認、口内炎の確認、胸の聴診、胸部レントゲンへと進んでいきます。

 ここで研修医から2回目の病名提示です。「サルコイドーシス」「ベーチェット病」「過敏性肺臓炎」が挙がりました。「サルコイドーシス」は、ドクターGが半ば否定したわけですが、研修医はあくまでレントゲン写真や目のぶどう膜炎から、そう考えたと力説しました。なんだか頼もしい感じ。

 続けて、胸部の聴診、レントゲン、さらにCT画像を見ていき、右肺門リンパ節の腫脹があることが明らかになります。ドクターGによると右下肺野の異常聴音から分かるのは胸膜炎だそうですが、研修医の方々には少し難しい所見だそうです。これらの症状から病名を再検討していき、研修医の挙げた病名をじわじわと否定していきます。

 「他の可能性はないでしょうか」ということで、SLE(全身性エリテマトーデス)が挙がってきました。おお、これならすべての症状が説明できそうです。ところがドクターGは「大事な病気を忘れている」と言い出します。「微生物はぶどう膜炎を起こす種類が多い」と。おーそうでした、そうでした。青木先生ですもん。感染症ですよね。

 そして、「これまでにその疾患名は挙がっている」とドクターGがコメントします。そう、これ「結核」だったんです。流れ的に、結核の最終診断に持っていくのが、ちょっと強引だったような気がしましたが。

 ドクターGによれば、このケースできちんと除外しておきたいのは、やはり結核だとのことでした。確かに感染拡大の懸念もありますし、重篤化の可能性もあります。研修医に「行うべき検査」を問いかけたときに、ドクターGが期待していたのは結核の除外、すなわち喀痰検査だったのです。実際、この症例でドクターGは、3回の抗酸菌染色検査でやっと陽性を確認したそうです。1回の陰性で除外してしまわないことも大切なのですね。

 振り返ってみると、実は今回の放送では、青木先生でも診断に難渋した症例であるにもかかわらず、研修医の先生から一発で「結核」という正解が出たことになります。シーズン5の最終回にして、この新展開。『ドクターG』、さすがです。次シーズンも期待しています。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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