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7/30放送 NHK『ためしてガッテン』から
ためしてガッテン◆「偽ニキビ」って何ですか?

2014/08/11

 今回の『ためしてガッテン』は「偽ニキビ」がテーマでした。前回の「デジタル認知症」じゃありませんが、この「偽ニキビ」も怪しいにおいがプンプンします。これは見ないわけにはいきません。

 偽ニキビには3種類あるんだそうです。最初に、ゲストにいくつかの写真を見せて、ニキビと偽ニキビを鑑別してもらいますが、ゲストの方々は違いがわかりません。一般の人は見た目では区別できませんね、ってことで話は進みます。

 続いて、偽ニキビでつらい思いをされた方の経験談が紹介されます。お手入れをしてもニキビが増え、人の視線が気になり、精神に変調を来したとのこと。こういう場合は早く受診したほうがいいですねえ。でも、まだ、偽ニキビとは何かの解説はありません……。だいぶじらされて、期待が高まります。

 そして、ようやく1つめの偽ニキビが明らかになります。それは「扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」。HPV(ヒトパピローマウィルス)が原因であることが紹介されます。ニキビだと思って薬を塗ったり、気になってよく患部を触っていると、かえってウイルスを広げてしまい、イボが顔全体に広がっってしまう、とのこと。

 ここで皮膚科医の本田まりこ先生が登場しまして、扁平疣贅はニキビとは色も形も違うということで、その鑑別方法を解説し、治療法として液体窒素の塗布を紹介していました。最初は見た目では分からないということだったはずですが、素人には分かりにくいかもしれないけど、皮膚科医には分かりますよ、ってことなんでしょう。

 続いて、2番目の偽ニキビは「マラセチア毛包炎」です。

 話はずれますが、テレビの情報番組でテーマが3つ提示される場合、たいがい2番目は内容が薄い、というのが私の持論です。まあ、作り手の立場になれば、最初にインパクトのあるテーマを持ってきて、最後にもそれなりに良いネタを入れたいわけで、必然的に2番目は手を抜くことになるんでしょうが。

 今回もそうでした。マラセチア毛包炎とニキビとは「同時にできる数」で鑑別可能。ニキビは数個しか同時にできませんが、もっと多い場合はマラセチア毛包炎の可能性があるとのこと。そして、「治療は抗真菌薬を」ということで、あっさりこの小コーナーは終了しました。

 最後の偽ニキビは、黄色ブドウ球菌が原因菌となる「面疔(めんちょう)」でした。明治時代のある歌舞伎役者が面疔で急逝した、というツカミです。その危険性を「鼻と脳は近いので、黄色ブドウ球菌が血管を通じて脳まで到達して、死に至る可能性がある」と説明していました。

 詳しく言えば、鼻の裏側にある静脈叢に菌が移行し髄膜炎や脳炎を起こす、ということなわけですが、一般向けにかみ砕いて「鼻と脳は近い」になったもようです。現代では抗菌薬で治療が可能ですから、命に関わることはほとんどありませんが、番組では、いずれにせよ面疔を疑ったら、診断と治療のために医療機関を受診するように勧めていました。

 結果的に、ガッテンの「偽ニキビ」は、デジタル認知症のように怪しい病気を作り出す話ではありませんでした。よかったよかった。

 でも、ネーミングとして「偽ニキビ」ってどうなんでしょうね。この3つをまとめて言うなら、「ニキビだと思って自己判断で治療していると、うまく治らなかったり悪化させたりすることがあるから、早めに医療機関を受診した方がいい、見た目がニキビに似た皮膚疾患」ってことですよね。であれば、「偽ニキビ」じゃなくて「ニキビもどき」なんじゃなかろうかと。

 全然違うんですが、なんだか「危険ドラッグ」という名称と同じような違和感を感じたのでした。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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