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【連載第16回 頭痛の診断】
頭痛の診断はクモ膜下出血の診断から

2006/10/13

 第14回で、「頭痛の診断は、突然の激しい頭痛の診断から始まる」と述べたが、今回は少し角度を変えて、「頭痛の診断は、クモ膜下出血の診断から始まる」と言い直そう。頭痛の原因疾患で最も重篤で頻度的にも多く、見逃しが許されないものがクモ膜下出血であるからだ。このクモ膜下出血の症状は、大部分が突然の激しい頭痛を起こすが、必ずしもすべてがそうとは限らない。突然の激しい頭痛の範ちゅうに入らないクモ膜下出血は、出血量が少なく、臨床所見または頭部CTによる判断が難しい場合があるため要注意である。

頭痛、悪心・嘔吐、意識障害の3症状で判断
 クモ膜下出血の症状は独特で、一般的には「突然の激しい頭痛」が主訴となる。この頭痛は「突然に、今まで経験したことのない、後頭部を中心に頭全体が割れるような痛み」「突然、後頭部をバットで殴られたような痛み」などと例えられることが多い。時には、第15回で紹介した症例のように必ずしも突然とはいえないこともあり、出血が少ない場合は来院時の頭痛の程度が緩和されていることもある。そうであっても、典型的な症状を基本に診断をするべきである。頭痛以外には悪心・嘔吐を訴える場合が多く、意識障害も約半数に見られる。これらの3つがクモ膜下出血の代表的な症状で、脳の巣症状(片麻痺や言語障害など)に乏しいのが特徴である。また、発症後間もない来院では項部硬直は見られない。項部硬直が見られるのは早くとも6時間以後、普通は12時間以後である。

 クモ膜下出血の発症頻度は、人口10万人に対して年間約10~20人で、原因は80%が脳動脈瘤破裂であり、次に脳動静脈奇形破裂が多い。

著者プロフィール

河野寛幸(ERプロジェクト)●こうの ひろゆき氏。1986年愛媛大卒。福岡徳洲会病院救急総合診療部、救急センター長、福岡和白病院救急センター長を経て、2006年4月、救急医学教育のためにERプロジェクトを設立。

連載の紹介

【臨床講座】救急初期診療の12のポイント
救急疾患の中には、見逃すと致死的なものが少なくない。緊急的対応が求められる心血管系疾患と全身的主訴疾患を中心に、診断のポイントや初期治療のコツを紹介する。

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