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【連載第8回 ショックの診断と初期治療】
ショックの初期治療は3要素で決まる

2006/08/18

 今回は、ショック理論の全体像を述べながら、初期治療(昇圧治療)の考え方を説明する。ショックは最終的に「rate」、「pump」、「volume」の3つの要因(後述)で規定され、それぞれのショックがどの要因で起こっているかを理解すれば初期治療の方法は容易に理解できる。そのために、ショックの病態生理と分類についても必要最小限の説明をする。

 ただ、閉塞性ショックと心原性ショックの違いについては、今回のテーマの一つである右室梗塞の理解のために少し詳しく説明を加える。なぜなら、同じ急性心筋梗塞でも、右室梗塞は右心不全を併発する閉塞性ショックであるのに対して、それ以外の心筋梗塞は左心不全を併発する心原性ショック(左心不全性心原性ショック)であり、ショックの機序が違うため初期治療(昇圧治療)も異なるためだ。以前は、閉塞性ショックも心原性ショック(広義の心原性ショック)に含まれていたが、現在では閉塞性ショックとして心原性ショック(狭義の心原性ショック)とは区別している。

右室梗塞か否かで初期治療の考え方に相違
 急性心筋梗塞の中でも右室梗塞以外は左心に関与しているのに対して、右室梗塞は右心に関与しているため、双方において機序や初期治療の考え方が違ってくる。前回も述べたように、右室梗塞の診断の要点は、下壁梗塞の心電図(Ⅱ・Ⅲ・aVFでST上昇)を見たときは、必ず右室梗塞の合併を考え右側胸部誘導を取らなければならないことである。そして右側胸部誘導(V3R・V4R)でST上昇が認められれば、右室梗塞の診断が付く。これは、右冠動脈が下壁へ行く枝と右室へ行く枝に分かれているためである(表1)。下壁梗塞の約3分の1に、病理学的には右室梗塞が合併すると言われている。

著者プロフィール

河野寛幸(ERプロジェクト)●こうの ひろゆき氏。1986年愛媛大卒。福岡徳洲会病院救急総合診療部、救急センター長、福岡和白病院救急センター長を経て、2006年4月、救急医学教育のためにERプロジェクトを設立。

連載の紹介

【臨床講座】救急初期診療の12のポイント
救急疾患の中には、見逃すと致死的なものが少なくない。緊急的対応が求められる心血管系疾患と全身的主訴疾患を中心に、診断のポイントや初期治療のコツを紹介する。

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