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【連載第6回 急性冠症候群の診断と初期治療】
急性心筋梗塞と不安定狭心症に大別

2006/08/04

 急性冠症候群とは、冠動脈病変の急激な変化に伴う急性心筋虚血の結果生じる症候群で、急性心筋梗塞(心臓性突然死を含む)と不安定狭心症に大別できる。これらの疾患は同じ病態で、粥状動脈硬化病変(冠動脈プラーク)の破綻とそれに伴う血栓形成が基盤となって発症すると考えられている。この血栓が冠動脈を閉塞したり、狭窄することにより、その破綻部末梢の冠動脈血流量が低下または途絶して心筋虚血や心筋壊死が急性に発生し、さらには致命的な不整脈を合併する。

急性冠症候群は臨床的に3つに分類
(1)ST上昇型心筋梗塞
 心電図上ST上昇、または新規もしくは新規と思われる左脚ブロックが認められ、心筋マーカーの上昇が認められたもの。この範疇に入るものとして以下も重要である。    
   後壁梗塞:V1~V4誘導に限局した著明なST低下
   早期のAMI:高い超急性T波(hyperacute T)
(2)非ST上昇型心筋梗塞
 心電図上ST上昇が認められず(ST低下や陰性T が認められる場合が多い)、心筋マーカーの上昇が認められたもの。心電図上問題ない場合があるため要注意である。
(3)不安定狭心症
 心電図上ST上昇が認められず、心筋マーカーの上昇が認められなかったもの。心電図上問題ない場合もあるため要注意である。

 急性心筋梗塞のうち、70%強にST上昇または脚ブロックが見られ、20%弱にST低下が見られる。そして、急性心筋梗塞発症の超急性期ではまだST-T変化が見られない例が約5%存在する。また、不安定狭心症の特徴は、心筋虚血発作時にSTは低下するものの、虚血の寛解に伴いSTは心筋虚血発作前の状態に改善する1)

著者プロフィール

河野寛幸(ERプロジェクト)●こうの ひろゆき氏。1986年愛媛大卒。福岡徳洲会病院救急総合診療部、救急センター長、福岡和白病院救急センター長を経て、2006年4月、救急医学教育のためにERプロジェクトを設立。

連載の紹介

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