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【連載第4回 不整脈(2)-徐脈(Bradycardia)の診断と初期治療】
徐脈は症候性か否かの鑑別が重要

2006/07/21

 前回は、「60歳女性、約30分前に自宅で失神」の徐脈の症例を紹介した。徐脈とは心拍数の絶対値が60回/分未満をいう。ただし、敗血症やショック状態の時のように本来は頻拍であるべき状況にもかかわらず心拍数が早くない場合を相対的徐脈といい、その場合は心拍数が60回/分以上であっても徐脈として治療する。

 臨床的には「症候性徐脈でないもの」と「症候性徐脈(症状のある徐脈)」の区別が重要で、以下の3つの基準を満たしたものを症候性徐脈と判断する。
1.心拍数が遅い(60回/分未満)
2.症状がある(重篤な症状)
3.その症状が徐脈による

 通常は何らかの症状を訴えて来院してきた徐脈はほとんどの場合が症候性徐脈であり、症候性徐脈と判断された場合は緊急治療の適応になる。症候性徐脈の自覚症状や他覚所見は以下のようなものである。
1.症状(自覚症状):重篤な症状
 胸痛、呼吸困難、意識障害、失神、冷汗、立ちくらみ、めまいなど
2.徴候(他覚所見):重篤な徴候
 血圧低下(ショック)、肺うっ血、心不全・肺水腫、急性冠症候群など

2度II型、3度の房室ブロックは緊急治療の対象
1.洞不全症候群(SSS: sick sinus syndrome)
 1)I型:洞性徐脈
 2)II型:洞停止、洞房ブロック
 3)III型:徐脈頻脈症候群
2.房室ブロック(AV block:atrioventricular block)
 1)1度房室ブロック
 2)2度I型房室ブロック(Wenchebach型)
 3)2度II型房室ブロック(MobitzII型)
 4)3度房室ブロック(完全房室ブロック)

 重要なものは、緊急治療が必要な「2度II型房室ブロック(MobitzII型)」と「3度房室ブロック」である。徐脈の心電図診断アルゴリズムを図1に示す。

著者プロフィール

河野寛幸(ERプロジェクト)●こうの ひろゆき氏。1986年愛媛大卒。福岡徳洲会病院救急総合診療部、救急センター長、福岡和白病院救急センター長を経て、2006年4月、救急医学教育のためにERプロジェクトを設立。

連載の紹介

【臨床講座】救急初期診療の12のポイント
救急疾患の中には、見逃すと致死的なものが少なくない。緊急的対応が求められる心血管系疾患と全身的主訴疾患を中心に、診断のポイントや初期治療のコツを紹介する。

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