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第15回 「そんな話、縁起でもない」という人の心の内
人生の最終段階の話を忌避する人への接し方

2021/01/12
岸見 一郎

(イラスト:田渕正敏)

 人は誰でも必ず死にますが、いつ、どこで、どんなふうに死ぬことになるかは、誰にもわかりません。病気で死ぬとは限りませんが、もしも病気になったらどんな治療やケアを受けたいかというようなことについて、家族などに伝えておきたいと思う人はいるでしょう。

 しかし、そうは思っていても、実際にどうなるか予測することは困難です。その上、生命の危険が迫った状態になると、どんな治療を受けたいか、例えば、延命治療を望むのかどうかについて、判断ができなくなったり意思を伝えられなかったりする恐れがあります。

 そうなると、どんな治療を受けるかを本人に代わって家族が決断しなければならなくなりますが、これは家族にとっては容易なことではないので、家族が本人の希望を聞いておかなければならないと思う気持ちはわかります。

 そこで、「アドバンス・ケア・プランニングACP)」ないしは「人生会議」として、本人と家族とで人生の最終段階で受ける医療やケアについて話し合いをしておこうという動きがあります。そうした際によく聞かれるのは、本人が「そんな話、縁起でもない!」と拒否感を示し、話し合いを拒んでしまうことです。

著者プロフィール

岸見 一郎●きしみ いちろう氏。1956年京都生まれ、京都在住。1987年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門である西洋古代哲学と並行して、アドラー心理学を研究。2013年に古賀史健氏との共著で刊行した『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)は、200万部に迫るベストセラーに。精力的に執筆・講演活動を行っており、著書に『アドラー心理学入門』『幸せになる勇気』など多数。

連載の紹介

岸見一郎の「患者と共に歩む心構え」
こんな時、患者にどう向き合えばよいのか。患者の思いをどのように受け止め、どんな言葉を掛けるのか――。日常診療の中で直面する様々な場面において、対等な人間として患者と「共に歩む」ための心構えを、哲学者でありアドラー心理学を解説したベストセラー『嫌われる勇気』の著者である岸見一郎氏が、医療機関でのカウンセラーとしての経歴や、心筋梗塞治療を受けた患者としての経験なども交えつつ解きほぐしていきます。

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