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高齢者救急の現場で思う「長生きは幸福か」

2017/05/23
木川 英(川越救急クリニック)

 ゴールデンウィーク(GW)が去り、しばらく祝祭日がないことを嘆く声が聞こえてきますが、救クリはGW中も休まず走り続けていたため、世間とは逆に一段落した感じです。

 GW中のとある日、高齢CPA心肺停止)患者が当院に救急搬送されてきました。こうしたケースで毎回思うことがありますので、今回はこれをテーマにしたいと思います。

 厚生労働省は「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(2015年改訂)を作成し、終末期医療の提供の在り方を示しています。内容は非常に納得いくものなのですが、現状どこまで実行できるかは疑問です。

 入院患者で、ある程度今後の見込みが付いて、さらに継続して診られるのあれば有用だと思うのですが、そうではない患者の方が多くいるのが現実です。

 一般開業医の先生が、普段通院している高齢者に対して「急変時にどうされたいか」という質問はほぼしないと思います。在宅医療の場では、今後どうしたいか、どのように療養していきたいか、など具体的にプランを練る場合はありますが、それでも急変時には家族がパニックになり救急車を要請し、搬送先で意図しない蘇生行為が行われることも多々あります。

 昨年にも似たような内容の記事を書きましたが、現在でもあまり変わっていないように思えます。制度やシステムを成熟させていくにはまだまだ時間が必要なのでしょう。

 高齢者医療において、もう一つ考えておきたいのは、「長生きは幸福か」という命題です。

 そりゃ、長生きは幸福に決まっているという声も聞こえてきそうでありますが、内閣府が行った調査によると日本人は15歳をピークに幸福度が低下しており、年齢が高くなれば幸福に思う米国人とは全く異なる結果が出ています(図1)。

著者プロフィール

木川英(川越救急クリニック副院長)●きがわ あきら氏。2005年東海大学医学部卒。茅ケ崎徳洲会総合病院(現:湘南藤沢徳洲会病院)初期研修医を経て、08年救急医を志し八戸市立市民病院救命救急センターに勤務。13年から現職。

連載の紹介

木川英の「救急クリニック24時」
全国有数の”救急過疎地”サイタマに開業した救急専門の診療所に助っ人としてやって来た木川氏が、現場で感じた地域医療の問題、患者側の問題、医療経営の問題等々を綴ることで医療界に一石を投じる。

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