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救えなかった「冷や汗」の症例

2016/11/24
木川 英(川越救急クリニック)

 秋も一段と深まり、小江戸川越にも落葉とともにインフルエンザが徐々にやって来ました。最前線で戦う身としては戦々恐々とする日々ですが、皆様お変わりありませんでしょうか。

 日経メディカル Onlineの新企画「冷や汗症例」のお題を筆者もいただきました。ここ数年で一番印象に残っているのは、自分も患者さんも「冷や汗」をかきながら、結局亡くなってしまった症例です。

 過去にも何回か、成功例のようなものは記事にさせていただきました。今回は結果を見れば、もっと違うアプローチもあったかもしれないケースということで、皆様のご意見もいただきたくここに提示します。

 70歳の女性が自宅内作業中に、突然の胸痛および呼吸苦が出現したとのことで救急車を要請されました。

 救急隊現着時、かなり苦しそうで意識レベルも若干悪い印象。既往歴は高血圧症のみで近医で降圧薬を処方されている。体温36.7℃、意識レベルJCS(Japan coma scale)I-1、血圧100/50mmHg、脈拍100回/分・整、呼吸数24回/分、SpO2(room air)95%、モニター心電図は異常波形なし。末梢冷汗があり、救急隊は重症と判断したのですが、数件当たるも諸事情で受け入れ不可能だったため、1時間後に当院に搬送されました。

 当院到着時、冷汗著明で、本人は身の置き所がない感じで暴れている状態でした。意識レベルI-3、血圧110/70mmHg、脈拍160回/分・整、呼吸数36回/分、SpO2 91%(O2 10L)、体温は全身冷汗のため測定できず。本人は「苦しい、苦しい」と連呼するのみ。

 教科書に出るようなショック状態で、情報から総合すると心原性ショックだろうと判断し、心電図を施行(図1)。

著者プロフィール

木川英(川越救急クリニック副院長)●きがわ あきら氏。2005年東海大学医学部卒。茅ケ崎徳洲会総合病院(現:湘南藤沢徳洲会病院)初期研修医を経て、08年救急医を志し八戸市立市民病院救命救急センターに勤務。13年から現職。

連載の紹介

木川英の「救急クリニック24時」
全国有数の”救急過疎地”サイタマに開業した救急専門の診療所に助っ人としてやって来た木川氏が、現場で感じた地域医療の問題、患者側の問題、医療経営の問題等々を綴ることで医療界に一石を投じる。

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