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救急外来というのは色々な危険が潜んでいる

2015/01/16
木川英

 遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 年末年始は馬車馬のように働き、連日100人前後の診察を行いました。大半はインフルエンザA型でしたが、中には重篤な方もいらっしゃいました。

 その様子が1月4日17時半からのテレビ朝日系スーパーJチャンネルで放映されましたが、ご覧いただけましたでしょうか?(特に宣伝していなかったので、気付きませんよね……)

 そんな中、新年一発目は、前回の予告通り「激震症例」を紹介いたします。

 気候的には真夏よりは若干涼しいくらいのとある日でした。

救急隊 50歳代の男性の収容依頼です。

木川 どうぞ。

救急隊 Z市の救急隊です。救クリからはやや離れている市での事案なのですが、周辺の医療機関が10件以上受け入れ困難で、現場滞在時間も2時間以上掛かってしまっているためお電話いたしました。

木川 (むむむ。また搬送困難事案か……最近また増えてきたな)ご苦労様です。概要をどうぞ。

救急隊 傷病者は、数カ月前から自宅内で徐々に身動きが取れなくなったようです。2週間前からは食事摂取もできなくなり、ここ数日は水分も取ることもできなくなりました。偶然、知人が傷病者の家を訪問したところ、息はしていましたが、全裸で倒れており、自宅内はごみ屋敷同然でした。意識は朦朧状態であったので、119番通報されました。現在のバイタルサインは意識レベルI-3(Japan coma scale)、血圧120/80mmHg、脈拍100回/分・整、呼吸数24回/分、酸素飽和度94%(大気圧)、体温31℃、 尿および便失禁があります。低体温だったので、保温しています。

木川 本人はしゃべれるのですか?

救急隊 発語はできませんが、こちらの言うことは分かるようです。

木川 既往歴や内服薬は?

救急隊 何もないと思いますが、詳細は不明です。

木川 分かりました。恐らくその状態ではどこの医療機関も受け入れ困難でしょう。どのくらいで来られますか?

救急隊 恐らく、30~40分くらいです。

木川 気を付けてお越しください。

 救急車到着。

木川 大丈夫ですか? どこか痛いですか?

患者 ……。

 顔面蒼白、やせ細っており、反応が鈍く、全身垢まみれで便臭がある。背部に褥瘡があり、ポケットになっていた。

 バイタルサインは救急隊の報告と変化はない。体温も32℃と大きな変化はない。保温、補液、血液およびX線検査を行った。

 主な検査データを示す。血糖値280mg/dL、白血球数3200/μL、ヘモグロビン10g/dL、 血小板数9.3万/μL、ナトリウム134mEq/L、カリウム5.3mEq/L、総蛋白6.6g/dL、尿素窒素90mg/dL、クレアチニン2.5mg/dL、クレアチニンキナーゼ80U/L、CRP30mg/dL。

著者プロフィール

木川英(川越救急クリニック副院長)●きがわ あきら氏。2005年東海大学医学部卒。茅ケ崎徳洲会総合病院(現:湘南藤沢徳洲会病院)初期研修医を経て、08年救急医を志し八戸市立市民病院救命救急センターに勤務。13年から現職。

連載の紹介

木川英の「救急クリニック24時」
全国有数の”救急過疎地”サイタマに開業した救急専門の診療所に助っ人としてやって来た木川氏が、現場で感じた地域医療の問題、患者側の問題、医療経営の問題等々を綴ることで医療界に一石を投じる。

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