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第52回 2年以内の施行決定、その影響を予測する
改正道路交通法で認知症診療はどう変わる?

2015/08/28

 今回は、認知症と自動車運転、運転免許証について考えてみたいと思います。認知症患者さんは、どれくらいの割合で診断後も自動車の運転を継続しているのでしょうか。どのような交通事故を起こしやすいのでしょうか。今年6月、改正道路交通法が国会審議を通過し、今後2年以内に施行されることが決定しました。このことがわれわれ医師にどのような影響が与えるのかについて、現時点での私の個人的な考えを述べてみたいと思います。

認知症患者さんの自動車運転の実態
 どのくらいの認知症患者さんが自動車の運転を継続しているのか、正確な統計はないと思いますが、筆者がもの忘れ外来で自動車運転について患者の家族にアンケートを行った結果を紹介します。

 対象は外来通院中の認知症患者270人で、家族に自動車免許取得の有無、現在も運転をしているのか否か、過去2年間に交通事故(人身、物損事故)や交通違反(速度違反や信号無視など)を起こしたことがあるか、交通事故を起こしたことがあるとすればその内容、車庫入れの際に車をぶつけたり傷つけたことはないか、患者の車に同乗していてヒヤッとする、危ないと感じたことないか――などの項目を尋ねました。

 図1は、その結果を示したものです。運転免許を取得している患者は161人で、そのうち28人は認知症と診断される前あるいは診断後に免許証を自主的に返納していました。残り133人のうち、現在も運転をしている患者は41人(30.8%)に及んでいました。つまり認知症と診断されても3人に1人は運転を継続しているのが実情なのだといえます。

著者プロフィール

川畑信也(八千代病院〔愛知県安城市〕神経内科部長)●かわばた のぶや氏。1979年昭和大医学部卒。国立循環器病センター、秋田県立脳血管研究センター、成田記念病院〔愛知県豊橋市〕を経て2008年より現職。愛知県認知症疾患医療センターセンター長も兼任。

連載の紹介

プライマリケア医のための認知症診療講座
2020年、患者数が325万人に達するといわれる認知症。患者数の増加に伴い、認知症の診療におけるプライマリケア医の役割が大きくなっています。著者が遭遇した実際の症例を紹介しながら、認知症診療の「いろは」を解説します。
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 Q&Aの数は全部で65個。どこから読んでも理解できるよう、1つのQ&Aだけで解説が完結する形に再編集しました。ぜひ日常診療にご活用ください。(川畑信也著、日経BP社、4644円税込み)

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