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第36回 レビー小体型認知症診療のコツ(6)
アルツハイマー型とレビー小体型は鑑別すべき?

2014/12/19

 アルツハイマー型認知症ならびにレビー小体型認知症は現時点でどちらも根治的治療がありません。そんな中、両者を鑑別する意義があるのか、その必要性がどこにあるのかと疑問を感じる先生方も少なくないと思います。ここでは両者を鑑別する意義と、たとえ鑑別できなくても不利益にならない点について私の意見を述べていきます。

鑑別する意義
 レビー小体型認知症では幻覚や妄想、抑うつなどの精神症状が中核的な症状になることが多いため、アルツハイマー型認知症以上にこれらの症状への対策が求められます。

 アルツハイマー型認知症は、もの忘れ(記憶障害)と自発性の低下・意欲の減退が中心的な症状ですから、周辺症状が目立たない患者さんへの対応・対策は比較的容易といえます。一方、レビー小体型認知症では、アルツハイマー型認知症の周辺症状に該当する症状が中核的症状となることから、両者を鑑別することはその後の治療方針を決定する上で重要となります。

 レビー小体型認知症では薬剤過敏性を示す患者さんが少なくないこともアルツハイマー型認知症と鑑別すべき理由です。ただし、両者を鑑別できなくても、レビー小体型認知症の存在を頭に置いて薬剤を慎重に使用すれば、大きな支障はないかもしれません。

 さらにレビー小体型認知症では易転倒性やパーキンソン症状に対する対策や環境整備が重要な課題となるので、その視点でもアルツハイマー型認知症との鑑別が必要になってくるのです。転倒やパーキンソン症状の存在は患者さんのADL低下をより招きやすいです。一方、アルツハイマー型認知症では高度に至るまで身体症状が出現することはないので、軽度から中等度の病期では移動などのADL低下を心配する必要はないでしょう。

 表1にアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の鑑別のポイントを示します。

著者プロフィール

川畑信也(八千代病院〔愛知県安城市〕神経内科部長)●かわばた のぶや氏。1979年昭和大医学部卒。国立循環器病センター、秋田県立脳血管研究センター、成田記念病院〔愛知県豊橋市〕を経て2008年より現職。愛知県認知症疾患医療センターセンター長も兼任。

連載の紹介

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