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第33回 レビー小体型認知症診療のコツ(3)
アリセプト処方の手順とコツを教えます

2014/11/07

 レビー小体型認知症と診断後、薬物療法を開始する際にどの薬剤を選択していくのかを考えてみましょう。

 レビー小体型認知症で治療の対象となる主な症状は、(1)認知機能障害、(2)家族や周囲が困る行動障害・精神症状、(3)パーキンソン症状――の3つかと思います。薬物療法を開始する際、まず標的とする対象症状はどれかを決定することが求められます。

 認知症診療では、認知機能障害を抑制することが第一義であろうかと思われますが、レビー小体型認知症ではアルツハイマー型認知症以上に行動障害・精神症状が主要症状(表現を変えると、家族や周囲が困る症状)となることもあります。そのため、抗認知症薬よりもまず向精神薬が最初に選択されることがあります。

 動作緩慢や転びやすいなどのパーキンソン症状が目立つレビー小体型認知症では、抗パーキンソン病薬を第一選択薬としてよいかもしれませんが、著者は初診のレビー小体型認知症への第一選択薬として抗パーキンソン病薬を使用したことはありません。レビー小体型認知症と診断後、臨床経過に伴ってパーキンソン症状が顕在化あるいは悪化してきたとき、抗認知症薬に抗パーキンソン病薬の併用を開始することが多いです。

 現在、わが国ではアルツハイマー型認知症の治療薬として4剤が発売されていますが、レビー小体型認知症に対する治療薬はドネペジル(商品名アリセプト)のみで、2014年9月に保険適用されています。保険診療から考えますとレビー小体型認知症の薬物療法ではアリセプトから開始すべきといえます。海外の文献では、リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)の有効性を指摘する報告もありますが、わが国で処方する際には適応外使用となることを忘れないようにしてください。

アリセプトの処方手順とコツ
 アリセプトを含めたコリンエステラーゼ阻害薬のレビー小体型認知症に対する薬効は3通りあると私は考えています(図1)。アルツハイマー型認知症と同様にアリセプトを服薬しても改善、悪化のいずれの目立った臨床的変化が認められない事例、少量投与で著明な臨床効果がみられる事例、さらにごく少量(3mg)でも臨床症状(身体状態やパーキンソン症状、精神状態など)が悪化する事例です。服薬前にどのタイプに該当するのかを判断することはできないと考えています。そこでレビー小体型認知症と診断した後、アリセプトを処方する際にいくつかのコツをマスターしておきましょう。ここでは、私が考えるアリセプトの使用手順とそのコツについて述べていきます。

著者プロフィール

川畑信也(八千代病院〔愛知県安城市〕神経内科部長)●かわばた のぶや氏。1979年昭和大医学部卒。国立循環器病センター、秋田県立脳血管研究センター、成田記念病院〔愛知県豊橋市〕を経て2008年より現職。愛知県認知症疾患医療センターセンター長も兼任。

連載の紹介

プライマリケア医のための認知症診療講座
2020年、患者数が325万人に達するといわれる認知症。患者数の増加に伴い、認知症の診療におけるプライマリケア医の役割が大きくなっています。著者が遭遇した実際の症例を紹介しながら、認知症診療の「いろは」を解説します。
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 Q&Aの数は全部で65個。どこから読んでも理解できるよう、1つのQ&Aだけで解説が完結する形に再編集しました。ぜひ日常診療にご活用ください。(川畑信也著、日経BP社、4644円税込み)

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