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第32回 レビー小体型認知症診療のコツ(2)
もの忘れ症状だけでは鑑別できない!

2014/10/17

 かかりつけ医・非専門医の先生方が開設する外来を訪れるレビー小体型認知症患者さんは、アルツハイマー型認知症と同様、しまい忘れや置き忘れなどのもの忘れ症状で受診することが多いと思います。しかし、もの忘れ症状のみでレビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症を臨床的に鑑別することはできません。

 レビー小体型認知症の主要3徴候は、変動する認知症症状、幻視、パーキンソン症状です。ここでは、かかりつけ医・非専門医の先生方の診断に役立つレビ―小体型認知症の特徴を解説します。

 レビー小体型認知症の特徴的な病態は、認知症症状に明白な動揺性(変動性)が見られることです。具体的には、(1)朝起床時や昼寝の後に調子が悪いが、数時間すると調子が良くなる、(2)1日の中で調子の善し悪しが明らかである、(3)同じ薬を服用しているにもかかわらず症状に著しい違いが見られる――などです。アルツハイマー型認知症でも夕方から夜にかけて易怒性や落ち着きのなさなどが見られますが(夕暮れ症候群)、レビー小体型認知症の動揺性はより変化が著明であり、鑑別は可能かもしれません。

幻視が見られるときレビー小体型認知症を考える
 布団の上に小さい子どもが寝ている、家の中に見知らぬ人間が見える、カーテンの隅が誰かがいる、花瓶から蛇が出てくる、窓の外に誰かいるなどの幻視の訴えもレビー小体型認知症に特徴的な症状です。レビ―小体型認知症では、主として人物や動物が見える、もしくは家の中にいると繰り返し主張します。また、人物や動物がしばしば小さく見えることも多いのです。たとえば、おなかを空かせた子供がたくさん家のなかにいると訴えたり、見えるとされる対象を触ろうとします。しかし、視線をそこからずらすと幻視は消えてしまうことが多いです。著者が診断したレビー小体型認知症患者で見られた幻視や誤認の内容を表に示しました(表1)。

著者プロフィール

川畑信也(八千代病院〔愛知県安城市〕神経内科部長)●かわばた のぶや氏。1979年昭和大医学部卒。国立循環器病センター、秋田県立脳血管研究センター、成田記念病院〔愛知県豊橋市〕を経て2008年より現職。愛知県認知症疾患医療センターセンター長も兼任。

連載の紹介

プライマリケア医のための認知症診療講座
2020年、患者数が325万人に達するといわれる認知症。患者数の増加に伴い、認知症の診療におけるプライマリケア医の役割が大きくなっています。著者が遭遇した実際の症例を紹介しながら、認知症診療の「いろは」を解説します。
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 Q&Aの数は全部で65個。どこから読んでも理解できるよう、1つのQ&Aだけで解説が完結する形に再編集しました。ぜひ日常診療にご活用ください。(川畑信也著、日経BP社、4644円税込み)

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