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第10回 FETPで学べること(2)
FETPのプログラム内容と受講者の日常
具 芳明(国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース)

2010/04/28
IDATEN

FETPメンバーとファシリテーターの先生方、中国からの研修生を囲んでの1枚(筆者は後列左から2人目)

 前回は国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(Field Epidemiology Training Program:FETP)の理念や活動について大まかに述べたが、今回はもう少し具体的にプログラムの内容を紹介したい。

 まず、「FETPは結構ひまだ」と思っている方が多いと聞いたことがあるが、決してそんなことはない。FETPの各メンバーは、毎日決まってやることと、チームや個人のプロジェクトを並行して抱えている。抱えているプロジェクトの数や時期によって忙しさに大きな差があるが、少なくとも今年度は常に複数のプロジェクトが動いており、やり繰りしながら進めているのが実状だ。

プログラム内容
 それでは、私のある1週間の過ごし方を紹介する。なお、時期によって内容が大きく変わってくるので、これはあくまでも一例である。

毎日:朝と夕方に国内外のメディアやWHOのサイトをチェックし、新たなアウトブレイク情報がないかを検索する。
月曜日:某県の研修会に参加。疫学調査の基本ステップについて講義し、食中毒事例のケーススタディの手伝いをする。移動と研修会で一日がかりになる。
火曜日:インフルエンザおよび腸管出血性大腸菌疫学調査のデータ整理。夕方にサーベイランスの状況確認とジャーナル抄読を兼ねたミーティングを行う。
水曜日:データ整理の続き。夕方にサーベイランスのデータが配布される。
木曜日:サーベイランスのデータ整理と各自治体への問い合わせ。疫学調査の報告書と報告会の資料作成。
金曜日:毎週木曜日から金曜日にかけて「MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report:米国CDCが発行する週刊の疫学情報)」や「Eurosurveillance」が発行されるため、それをチェックする。長期研究の計画について指導教官と打ち合わせを行い、準備を進める。

 上記のようにまとめてみると、データ整理ばかりやっていることがわかる。

 FETPについて多少興味のある方でも、「FETP=アウトブレイク対応」というイメージが強いのではないか。緊急対応のために飛び出していく姿は派手だし、何だか格好いい気がする。しかし、毎日そんなことをしているわけではない。第一そんなことをしていたらヘトヘトになってしまう。調査に出かければ必ずそのデータを整理し、まとめていく作業が大切となる。これは、FETPという養成コースの根幹である。

著者プロフィール

IDATEN(日本感染症教育研究会)●米国で感染症科フェローシップを修了した医師、国内の感染症専門医らを中心とした有志団体。感染症の実地診療が行える医師の育成・支援、セミナーの開催などを中心に活動する。

連載の紹介

「KANSEN JOURNAL」ダイジェスト
日本の感染症診療の教育や発展を考える有志団体「IDATEN」。その公式メールマガジン「KANSEN JOURNAL」を、非専門医向けにダイジェスト化。最新文献や、診療の基礎に関するレビュー、case studyなどを紹介します。

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