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第9回 FETPで学べること(1)
「FETP」をご存じですか?
具 芳明(国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース)

2010/04/27
IDATEN

 私は2009年4月から国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(Field Epidemiology Training Program:FETP)に参加して、感染症疫学を学んでいる。FETPとは、簡単に言うと「実地疫学や感染症疫学について、on the jobで学ぶ2年間のコース」であるが、多くの方にとってはなじみの薄いプログラムだろう。そこで、今回はFETPとはどのようなプログラムなのかを紹介し、その存在を知っていただきたいと考えている。

FETPの概要

 FETPとは、感染症危機管理を行う人材の育成プログラム(1999年9月に設置)のことで、主な拠点は国立感染症研究所(東京都新宿区)である。「感染症の流行や集団発生時に迅速、的確にその実態把握および原因究明にあたり、かつ平常時には質の高い感染症サーベイランス体制の維持・改善に貢献する人材を育成すること」が理念だ。

 設置のきっかけの一つは、1996年に大阪府堺市を中心に発生した「腸管出血性大腸菌O157:H7」による、食中毒の大規模集団発生事例であったという。さらに、食中毒を代表とする感染症危機管理事例の広域化もあり、従来の感染症危機対応では対応しきれない事例が増加してきたこともFETP設置の追い風となった。

 設置後は一貫して国立感染症研究所を拠点としており、on the jobのトレーニングがプログラムの中心だ。ここ数年は国立保健医療科学院(埼玉県和光市)とのジョイントプログラムもあり、より厚みのある教育体制になっている。2009年に設置10周年を迎えたが、2009年3月までに37人が修了し、2010年3月現在で10期生4人と私を含めた11期生5人がトレーニングを受けている。

 このプログラムがもともとの受講者として想定していたのは、自治体から派遣される公衆衛生分野のスタッフだった。だが実際に参加しているのは、自治体で公衆衛生分野の経験を積んだ医師のほか、臨床医、自衛隊に所属する医師などさまざまだ。今のところ医師が中心ではあるが、薬剤師、看護師、獣医師、臨床検査技師などの職種にも門戸は開かれており、それらの職種の修了者もさまざまな場面で活躍している。

著者プロフィール

IDATEN(日本感染症教育研究会)●米国で感染症科フェローシップを修了した医師、国内の感染症専門医らを中心とした有志団体。感染症の実地診療が行える医師の育成・支援、セミナーの開催などを中心に活動する。

連載の紹介

「KANSEN JOURNAL」ダイジェスト
日本の感染症診療の教育や発展を考える有志団体「IDATEN」。その公式メールマガジン「KANSEN JOURNAL」を、非専門医向けにダイジェスト化。最新文献や、診療の基礎に関するレビュー、case studyなどを紹介します。

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