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第3回
“聴衆者全員参加型”の米国式カンファレンスで熱い討論

2009/10/22
IDATEN

 今回は、2009年6月6日に行われた「第17回米国式感染症科ケースカンファレンス」の様子をリポートする。このケースカンファレンスは、いわゆる「学会形式の症例報告」とは異なり、病歴や身体所見、検査所見に基づいて「聴衆者が全員参加」して鑑別診断や治療方針を考えていく形式を取っており、1症例に1時間以上かけて話し合われることもある。

●1例目 原因不明の好酸球増加

 静岡県立静岡がんセンターの岸田直樹氏・大曲貴夫氏による1例目は、60歳代の男性。肝門部胆管癌のため、外科的手術を行ったが、術後から徐々に好酸球が原因不明で増加。感染症科にコンサルトがあった時点(術後4カ月が経過)では、WBC(白血球数)が13220/μL(そのうち、好酸球は58.1%)となっていた。

 この症例については、「CURRENT Medical Diagnosis&Treatment」(McGraw-Hill Medical)の著者である、Lawrence M. Tierney氏も参加し、ディスカッションを行った。聴衆からは、「単細胞の微生物は、感染しても好酸球増加は起きない」という発言があった。「慢性に経過する好酸球増加で、発熱をきたさない疾患」というサマリーがあったことから、日本住血吸血症、糞線虫、肝蛭、吸虫、回虫などの寄生虫感染を答えとする声が聞かれ、また感染症以外ではChurg-Strauss syndromeや副腎不全などが挙がった。

 その後、胸部画像で浸潤影が明らかにされ、カンファレンスでは特に右下肺領域の胸部異常影および好酸球増加を焦点として話が進められた。その後、肺吸虫症やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などが挙がったが、気管支鏡検査の結果から、肺クリプトコッカス症と診断された。「クリプトコッカス症を見たら、HIV感染症の有無はもちろん検査しなければならない。HIV感染者以外のクリプトコッカス症では、感染巣は中枢神経系のほか、肺が多い。この症例でみられる顕著な好酸球増加は、クリプトコッカス症としては非典型的だといえる」とTierney氏はコメントした。

著者プロフィール

IDATEN(日本感染症教育研究会)●米国で感染症科フェローシップを修了した医師、国内の感染症専門医らを中心とした有志団体。感染症の実地診療が行える医師の育成・支援、セミナーの開催などを中心に活動する。

連載の紹介

「KANSEN JOURNAL」ダイジェスト
日本の感染症診療の教育や発展を考える有志団体「IDATEN」。その公式メールマガジン「KANSEN JOURNAL」を、非専門医向けにダイジェスト化。最新文献や、診療の基礎に関するレビュー、case studyなどを紹介します。

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