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薬剤の仕入れと処方が合わず…判明した事実は?

2022/02/21
小畑 吉弘(日本医業総研)

イラスト:庄原 嘉子

 地域で代々、診療所を経営してきた家系に生まれたA医師。院長である父親が高齢となり、自身が診療所を引き継ぐことになりましたが、父親の話によると自院の経営状況は芳しくないようでした。

 A医師は承継に当たり、「経営を良くするためには他者の的確なアドバイスが必要だ」と考え、まず顧問税理士を変えることに。それまでお願いしていた顧問税理士が高齢で、医業にあまり詳しくなかったこともあり、知人に紹介してもらった会計事務所に税務顧問を依頼しました。

 新たに顧問契約したB税理士は早速、経営状況を分析し、他の同形態の診療所の経営指標と比較した上で経営課題を浮き彫りにしようとしました。その結果、課題として浮上したのが医薬品の仕入れ額の多さです。

 同院では以前から院内処方を採用しており、A医師もそのやり方を引き継ぎました。先代院長は、「代々付き合いのある医薬品卸業者さんにお世話になっているから」と、これまで価格交渉をしてきませんでした。また、患者さんの要望を受け入れ、仕入れる薬の品目数を増やしてきたため、使用期限切れになるものも多かったようです。そのためA医師は、自院を存続させるためには背に腹は代えられないと思い、複数の医薬品卸業者に相見積もりを取って価格交渉をすることに。また、滅多に処方しない医薬品の仕入れをやめ、患者さんには事情を説明して、院外処方も一部取り入れていくようにしました。

 こうした努力により、医業収益に対する医薬品仕入れ額の割合は下がりましたが、それでも、B税理士が納得いく水準ではありません。そこで、B税理士は、電子カルテから、月別の使用薬剤リストを作成し、医薬品卸各社の請求書の内容と突合してみることにしました。すると、仕入れ単価が高いある薬について、医薬品卸の請求書には上がっている(=仕入れている)のに、電子カルテ上、処方されていないことが判明しました。

著者プロフィール

日本医業総研●医院・診療所の開業コンサルティング企業。関西地方を中心に、220件以上の開業支援実績がある。関西および関東でクリニックモールの企画・開発も積極展開している。

連載の紹介

開業の落とし穴
開業は一生の一大事。一方で、診療所の経営環境は悪化の一途をたどっています。開業地の選定や資金調達など、軌道に乗るまでに潜むさまざまな落とし穴を、過去に開業されたドクターの事例を基に紹介します。

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