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【第31回 開業医の多忙な業務】
職員の給料を1桁多く支払うミス!

2013/01/28

 医師になって10年目の皮膚科医である女性医師のI氏は、これまでに医局人事で勤務先病院を4回変わった経験があります。最後に勤務していた病院は、自宅から通勤可能だったものの、乗用車で往復3時間かかりました。内科医の夫は地方の大学病院に単身赴任していて、実家に子どもを預けながら家事・育児と仕事をこなす毎日を送っていましたが、長時間の車通勤が徐々に体に堪えるようになってきました。

 ある日、外来勤務が終わった後、運転しながら居眠りをしてしまい、危うく前の乗用車に追突しそうになりました。「今日は忙しかったから…」と自分を慰めてもみましたが、体のことを考えると、車通勤は無理があると考え始めました。「開業」の2文字が頭をよぎったのはちょうどその頃で、行動を起こすまでに時間はかかりませんでした。1年後には、自宅近くの空きテナントにクリニックを構えて開業医としての生活をスタートさせました。

 通勤時間が大幅に短くなったので、時間に余裕ができると思っていたI氏。ところが、皮膚科クリニックのないエリアだったため、オープンして間もなく1日の来院患者が50人を超え、帰宅時間は勤務医の時と変わらない状況に陥りました。クリニックが盛況なのだから本来なら喜ぶべきことなのですが、だんだん疲れが隠せなくなってきて、I氏は何のために開業したのか分からなくなってきました。

 さらに、毎月末にはスタッフの給料計算や業者への支払いの業務に追われ、月が変わればレセプト業務もしなければならない羽目に。午前と午後の診療の間には、様々な業者の対応に忙殺されました。I氏は、勤務医と違って診療以外にしなければいけないことの多さに辟易しました。

著者プロフィール

日本医業総研●医院・診療所の開業コンサルティング企業。関西地方を中心に、220件以上の開業支援実績がある。関西および関東でクリニックモールの企画・開発も積極展開している。

連載の紹介

開業の落とし穴
開業は一生の一大事。一方で、診療所の経営環境は悪化の一途をたどっています。開業地の選定や資金調達など、軌道に乗るまでに潜むさまざまな落とし穴を、過去に開業されたドクターの事例を基に紹介します。

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