日経メディカルのロゴ画像

【第27回 テナント物件】
医療機関向けのテナントなのに設備に問題が…

2012/08/23

 開業のため、インターネットで不動産情報を収集していた消化器外科のD氏。医療機関向けのテナントとして募集広告が出ていた駅前の賃貸ビルに目が留まりました。勤務先の病院に通勤する途中のなじみのある場所にあり、直感的に「ピン!」ときたのです。

 早速、週末に物件を内覧し、もらった図面を見ながら賃借の検討に入りました。既に耳鼻科と心療内科のクリニックが同じ建物内で診療しており、地域の人たちに「医療ビル」として認知されているようだったので、D氏は程なくして不動産賃貸借の契約をすることにしました。

 開業場所は駅前で、周囲に住宅地が広がる立地のため、地域の高齢者などだけでなく通勤途中のサラリーマンも来院患者として想定。上部と下部両方の内視鏡検査を実施し、消化器疾患をきめ細かく診療できる体制づくりを目指しました。

 上部だけでなく下部の内視鏡検査も実施しようとすると、トイレの数が必要になります。D氏は、外来患者用のほかに内視鏡検査の患者用、スタッフ用の3種類のトイレを設置することにし、設計士と内装プランを打ち合わせました。

 しかし、ここで問題発生です。この物件では、あらかじめ決まった場所にしかトイレを設置できず、他の場所に配置する場合、新たに配管を通すために床の高さを上げなければならないことが判明しました。一般的な医療用テナント物件では通常、トイレなどの増設を想定し、前もって30cmほど深く床を掘り下げてあります。D氏は「医療用テナントとして募集していたのに、そんなことも想定していないのか」と、ビルのオーナーに詰め寄りましたが、契約後ではどうすることもできず、結局、床上げ工事をするしかありませんでした。

著者プロフィール

日本医業総研●医院・診療所の開業コンサルティング企業。関西地方を中心に、220件以上の開業支援実績がある。関西および関東でクリニックモールの企画・開発も積極展開している。

連載の紹介

開業の落とし穴
開業は一生の一大事。一方で、診療所の経営環境は悪化の一途をたどっています。開業地の選定や資金調達など、軌道に乗るまでに潜むさまざまな落とし穴を、過去に開業されたドクターの事例を基に紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ