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【第2回】
師走を乗り切るために処方する漢方薬

2010/12/06

 ドリンク剤のCMを見ていると、疲れ果てたときなどにとても元気が出そうな気がしてきます。気が滅入ったときにも効きそうです。

 漢方薬でも、生薬の人参黄耆(おうぎ)を含んでいるものはそのような効果が期待できます。代表は補中益気湯(ほっちゅうえっきとう)で、僕もバテたときには毎食前に飲んでいます。飲むと気力が出るのです。1日飲んで元気になればそれでよし。ただ、数日飲んでも、1カ月続けて飲んでも大丈夫です。

 癌など大きな病気で入院すれば、当然気が滅入ります。このような疾患で入院した患者さんで、漢方を希望する人には補中益気湯を処方しています。動物実験で、補中益気湯には対癌免疫を亢進するなどの効果が認められたあると報告されていますが、それは二の次の話。ともかく気力が増して闘病意欲がわくことが大切ではないでしょうか。

 人参と黄耆を含む漢方薬は、補中益気湯のほかに、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、大防風湯(たいぼうふうとう)、帰脾湯(きひとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、清暑益気湯(せいしょえっきとう)、当帰湯(とうきとう)、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)など。どれも患者さんに処方する際は「ドリンク剤のようなイメージで、元気がでる薬だよ」と説明しています。いずれにしても、「虚証」と呼ばれる消化機能が弱い人用の薬です(「虚証」についてはまた改めて説明しますが、入門段階ではこのように理解すると分かりやすいと思います)。

 もちろん、同じように人参と黄耆を含んでいるといっても、少しずつその効果は異なります。どのような患者さんに処方すべきかは、表を参考にしてください。表の中でも十全大補湯、大防風湯、加味帰脾湯、半夏白朮天麻湯、清心蓮子飲はよく使われる薬です。ぜひ覚えておいてください。

著者プロフィール

新見正則(帝京大外科准教授、愛誠病院漢方センター長)●にいみ まさのり氏。1985年慶応大卒。専門は末梢血管外科。98年帝京大第一外科講師、02年より同大外科准教授。10年より愛誠病院漢方センター長。

連載の紹介

【臨床講座】漢方嫌いだった外科医の漢方教室
西洋医学的なアプローチで十分な治療効果を得られないとき、漢方薬を使うとよい場合があります。現役外科医の新見正則氏が、“食わず嫌い”の医師向けに漢方の魅力とプライマリケアの現場で役立つポイントを紹介します。

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