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【連載第11回】
古くて新しい舌下免疫療法

2007/04/16

研修医P:「この前、伺った免疫療法ですが、皮下注射による特異的免疫療法は、通院回数が多く、治療期間が長いのが難点ですね。それに、注射液の管理、手技の煩雑さ、また副作用として注射部位の発赤腫脹、喘息の誘発、稀にアナフィラキシーショックなど、普及しにくい点が多いですね」
指導医O:「そうですね、そこでこれらの短所を克服して、かつ皮下注射の免疫療法と同等の効果を得る投与方法がないか、検討されたのです」

研修医P:「どのような方法ですか」
指導医O:「1900年ごろから経口免疫療法が、1950年ごろから気管に抗原を投与する免疫療法が試みられましたが、いずれも良好な結果は得られませんでした。1970年になって鼻粘膜に抗原を噴霧する免疫療法が試みられました。ある程度の効果は得られたようですが、鼻炎が誘発されるなど問題もあり、衰退していきました。その後、1980年に入り、再び経口免疫療法が検討されたのです。中でも舌下粘膜に抗原を留置する舌下免疫療法の研究が進み、1998年にはその効果は注射による免疫療法に匹敵すると、WHOでも報告されました」

研修医P:「舌下免疫療法とは、どのような方法ですか」
指導医O:「字のごとく、抗原を舌下に置いて粘膜から抗原を取り込ませる方法です。抗原をしみ込ませたパンくずを舌下に2分間留置し、その後、吐き出す方法と、飲み込む方法があります。また、舌下粘膜からの抗原の取り込みを良くするため、グミに抗原をしみ込ませて20分間留置する方法も試みられています」

研修医P:「抗原液にはどのようなものを使いますか」
指導医O:「従来の皮下注射免疫療法で使われている抗原液を使用します。日本では、スギ花粉症には標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉を使用します。ただし皮下注射で用いる濃度の100倍ぐらいの濃度を用います。もともと舌下免疫用のエキス(粘膜から吸収されやすいよう工夫された)がないことから、その分、濃度を高くする必要があるのです」

研修医P:「効果はどのくらいですか」

著者プロフィール

大西正樹(大西耳鼻咽喉科院長)●おおにし まさき氏。1979年和歌山県立医大卒後、日本医大耳鼻咽喉科学教室入局。81年同大助手。85年カナダ・マックマスター大留学。93年墨田区に大西耳鼻咽喉科を開業。

連載の紹介

【臨床講座】ゼロから学ぶ花粉症診療ゼミナール
耳鼻科にローテートしてきた研修医P君が、指導医O先生と医局で雑談するという設定で、花粉症の診断、症例に応じた治療法の選択、患者指導のコツなど花粉症診療のイロハを紹介します。

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